「鎌倉殿の13人」に綾(あや)なす歴史話
綾瀬と鎌倉殿
中世を偲(しの)ぶ痕跡
過去の記事で、市内に残る中世を伝える地名を紹介しましたが、遺跡からも中世の様相を伺うことができます。代表的な遺跡を紹介します。
【1】宮久保遺跡は、綾瀬西高校を建設する際に発見された遺跡です。12〜15世紀の建物跡や、馬具、青磁・白磁片などが出土しており、渋谷一族に連なる武士の館があったと考えられます。【2】早川天神森遺跡は、天神森隧道の整備に伴い見つかった遺跡です。早川地域と隣接地域を区画する中世の溝が見つかっています。【3】五社神社遺跡は、道路の整備で見つかった遺跡です。渋谷一族が市域にいた時期の大溝が見つかっているほか、平安時代末から鎌倉時代にかけての土師器(はじき)などが出土しています。五社神社は、立地や周辺の遺跡などから中世文書の「渋谷定心置文」に記載された「五所宮」だと考えられています。文字に記録された場所で中世の痕跡が見つかったことは、文献資料が少ない綾瀬市域の中世を紐解く上で重要な発見です。【4】城山公園内の早川城跡は、非常時の防御施設として築かれた中世の山城です。築造年代は不明ですが、14世紀末〜15世紀の火舎(火鉢)片が出土しており、この時期には山城として使われていたと考えられます。【5】他にも、長泉寺やびわみ堂遺跡からは中世の板碑や五輪塔が見つかっており、当時の人々の思いや信仰を伺うことができます。
市域には、紹介した遺跡を含め、中世を今に伝える場所が多く残っています。過去の人々の暮らしに触れる場所であり、現代に至る人々の歩みを知る場所でもあります。全5回の連載にお付き合いをいただきありがとうございます。地域を知ると新たな景色に出会えますので、近くの歴史をぜひ調べてみてください。
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