海老名市教育委員会(伊藤文康教育長)と神奈川県教育委員会(花田忠雄教育長)は3月29日、インクルーシブ教育の推進に向けて連携する協定を結んだ。伊藤教育長らが県庁を訪問して協定書に調印し、具体策などに関する協議を本格化させる。
インクルーシブ教育とは心身の障がいの有無や国籍、人種などによらず全ての子どもが一緒に学びあう教育環境で、県によると都道府県と地方自治体がこうした協定で連携する例は全国的にもまだ少ないという。
県と市は今後、協定書に基づき、海老名市内でのインクルーシブ教育の実現に向けた研究・企画、実践や普及・啓発などで連携を深め、2024年度中に推進会議(仮称)を立ち上げ、地域の関係者らを巻き込むタウンミーティングも開催したい考え。
県と市が設置する推進会議では、インクルーシブ教育に関する情報交換や具体的な実施事項などについて協議し、決定していく。
相互協力の背景
神奈川県は、24年度に新たに指定した4校を含む公立高校18校をインクルーシブ教育の実践推進校に指定している。
この18校では、「誰もが大切にされ、いきいきと暮らせる共生社会をめざし、知的障がいのある生徒が高校で学ぶ機会をひろげながら、みんなで一緒に過ごし、互いのことをわかりあい成長する」ことを目標にしている。県はこうしたことを背景に21年度から県内33の市町村との連携を模索してきた。
海老名市には、「誰ひとり取り残さない教育」をめざす教育大綱があり、このなかで「すべての子どもたち一人ひとりの多様性に対応した学びやすい環境、わかりやすい授業、安全で安心できる居場所づくり」を掲げて各種施策を展開している。これらの取り組みを背景に海老名市と県が連携を深め、地域も巻き込んで意見交換を重ねる方針で一致し、この日の協定締結に至った。
県の担当者は「海老名市や地域の皆様と、障害の有無だけではなくあらゆる角度からインクルーシブ教育を検討したい」と意欲を示している。
本紙の取材に海老名市の伊藤文康教育長は、「すべての子どもたちが、住んでいる地域の学校で学び成長することはあたり前のことであり普通のこと」との認識をした。その上で、「そんなあたり前の、ふつうの地域づくり・学校づくりを、子どもたちや保護者、教職員や地域の方々、市民の皆さまの声を聞き、話し合いを重ね、市全体で取り組みを推進したい」とコメントしている。
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