オートバイの全日本選手権を3連覇したチーム「7C」の代表を務める 坂井 信人さん 綾瀬市深谷上勤務 59歳
勝利の余韻も、捨てて走る
○…30年にわたって率いるチームが、全日本選手権を昨年まで3年連続で極めた。綾瀬工業団地の拠点には看板もなく、油のにおいと、部品や工具ばかりでトロフィーが少し置いてあるだけ。「勝利の余韻にひたれるのは数時間。次の準備もあるので」とそっけない。レースから戻ると分解して部品を調べ、すぐに次の戦いに備える。
○…藤沢市長後の生まれ。小学生時代は野球に熱中して投手を務めたものの「体が小さく勝てない」と思い、次第に遠ざかった。中学の頃にたまたまバイク雑誌をめくり、カッコよさに惹き込まれた。技術科の授業で古いバイクを解体させてもらい、これがまた面白い。16歳で念願のバイクを手に入れると箱根や伊豆、九州を駆け、世界が格段に広がった。
○…就職したバイク店では休みも忘れて整備に没頭した。「凡人は人の数倍やらないと勝てない。頭と工具を使う分野なら勝てると思った」。20代の頃にチームを設立、ライダーとして出場していたが、その役目を若手に託してチーム運営やエンジニアの側へ。活動は海外にも広げ、育てたライダーたちが世界選手権への階段を登った。有能な若手選手にもこう語る。「お前は幼少から経験を積めたが、それは才能じゃない。努力を重ねるんだ」
○…「4連覇?当然です」と胸中は熱い。チームの活躍を知る市民はほとんどいないが、地元綾瀬を応援するつもりで夏の花火に10年以上協賛する。工場にこもる事が多く自宅に帰っても「無趣味です」と苦笑い。2人の子を育て、いずれも二輪とは別の道に進んでいる。「やりたい事があれば100%応援します。子育ては妻に任せきりで、感謝です」と小声で添えた。全開で突き進むお父さんでもある。
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