海老名市役所で開かれた「えびな小さな芸術鑑賞会」でピアノを演奏した 神宮司 悠翔さん 海老名市在住 19歳
一期一会のあなたへ
○...背を丸めて演奏する姿は、ピアノに命を吹き込むよう。来場者からは「神々しかった」「人の演奏とは思えない」と感嘆が相次いだ。海老名市出身で、5歳で音楽教室に通い始め、今泉小、中学校の頃には合唱の発表で伴奏を務めた。東京芸術大附属高校2年の時にピティナ・ピアノコンペティションで特級銀賞を獲得。今は世界的なショパン・ピアノコンクールの頂点を目指す。
○...毎朝の通学中は、貴重な睡眠時間だ。東京藝術大で夜まで練習し、帰宅が遅くなる事も。食事は油ものを少なめに、みそ汁にも酢を入れるのが神宮司家のこだわり。台所の母が料理し、掃除する音を聞きながら練習しているから、市役所のエントランスでも雑音は気にならなかった。
○...1曲で40分弾き続けることもあり、体のメンテナンスは欠かせない。毎日愛用の指圧器を体にあて、オフになるとビナスポで泳ぎ、柏ヶ谷近隣公園を歩く。鳥のさえずりや木の葉が揺れる音が心を潤してくれる。相模三川公園も少年時代に友達と鬼ごっこをした遊具が残り、桜の時期は必ず歩く場所。街の姿が刻々と変わり、少し歩けば田舎に出会える海老名。「これ以上の街はありません」と讃えた。
○...本番の衣装は上下黒でピアノに同化するよう。受賞歴を聞いていると、さえぎるように「この15年、やめようと思った事が何度もあった」と打ち明けた。途方もない練習をしても、上達が実感できない。椅子に座るのが怖くなった日も。それでも、観客や恩師の励ましを思い出し、ピアノの前に戻ってくる。好きな言葉は「一期一会」。本番に来てくれた人は、二度と会えないかもしれない。ひとり汗だくで壁に向き合い続けている。
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