落書きや破損といった蔵書へのいたずらが増加傾向にある座間市立図書館。中には館内で雑誌を切り抜くといった悪質な利用者もおり、公共でのマナー厳守が叫ばれている。被害の現状を取材した。
ボールペンによる書き込み、マーカーで線が引かれているもの、ページが丸ごと抜き取られている写真集やレシピ本など、蔵書被害が後を絶たない。閲覧用新聞から飲食店のクーポンが切り取られていたことや、カッターを持参し雑誌を切り取る女性が館内で目撃されたケースもある。同館によるとこれらは軽犯罪、器物損壊罪にあたる可能性があるが、現行犯でない限り犯人の特定が難しく訴訟に発展した例はない。
被害本は古くなった本や自然と壊れた本と同じ「汚破損(お は そん)資料」という扱いで除籍される。消せる落書きや補修できる本に関しては職員が修復し蔵書に戻される。2011年度の汚破損資料は507冊。統計は取っていないがこのうち4分の1ほどが被害本だという。法律、資格検定、料理などの実用書に多く見られ、希少価値の高い歴史本の盗難被害も少なくない。
ポスターによる啓発や切り抜き防止を目的にカラーコピー機導入といった対策を講じてきたが、決定的な解決には結びついていない。4月5日(木)まで同館入り口で被害本の一部を展示し、注意喚起を行う。
「本を大切に」
同館は図書館ボランティア「友の会」が主催する年2回の古本市や、市内の学校、コミュニティセンター、県外の刑務所などへ古書を寄贈しており、本の再利用に力を入れている。
担当者は「他市と比べ圧倒的に被害件数は少なく、ほんの一部の利用者によるもの」とした上で「図書館は市民の共同書庫。全国の図書館から蔵書を取り寄せられるので、日本中の書庫を利用していることになる。1冊の本がもつ意義を理解し本を長生きさせてほしい」とコメントしている。
同館は、座間市在住・在学・在勤者、県央在住者が利用対象。3月19日現在、8万8593人が登録している。2011年度の書籍購入費にあたる図書資料整備事業費は1600万円となっている。
問い合わせは同館【電話】046・255・1211まで。
![]() ▶ページの根元から丸ごと切り取られた写真集
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