座間と都市間交流のある福島県須賀川市の復興を応援しようと、須賀川市の木「赤松」を育てている人がいる。入谷在住の野島洋一さん(42)だ。年明けから育て始め、今では40〜50cmまで成長した。少しずつ大きくなる姿に、復興を目指す須賀川を重ね合わせている。
農家の視点で風評被害を危惧
家が農家を営んでいた野島さんにとって、須賀川は日本有数のきゅうり生産量を誇る街。東日本大震災と、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、危惧したのは、放射能による農作物への風評被害だった。「(須賀川の農家が)とても困っているだろうと思いました。自分でも何か支援をしたい」。そこで思い付いたのが、須賀川市の木「赤松」を座間で育て、その成長を通して震災の記憶と支援を風化させないことだった。また、野島さんは左足が不自由なため、直接須賀川に行くことが難しい。「身近で、できることから始めよう」。赤松を育てたのは、そんな考えもあった。
芽を探し始めたのは昨年末。「震災が起こった頃に芽吹いたもの」という点にこだわったことで、探す作業は難航した。電話番号案内サービスを利用し、須賀川の生産農家を調べ、電話すること10件以上。ようやく、国の名勝に指定されている須賀川牡丹園で希望のものが見つかった。「枯れてしまうと縁起が良くない」と、3本を購入した。
植えた場所は、自宅のすぐ近くにある龍源水ホタルの公園。多くの人に見てもらおうと、市から運営を委託されている自治会の了承を得て植えた。栽培に関しては「全くの素人」。うまく根付くか不安もあったが、順調に成長した。50cmほどの大きさになり「感無量でした」とうれしさをにじませる。
成光学園に2本を寄贈
赤松は、一般的な品種でも10mから20mに成長する。3本を育て続けることが難しいと判断して、市内緑ヶ丘の児童養護施設の成光学園に2本を寄贈した。偶然にも同園の矢部雅文園長の本家が須賀川にあり、野島さんは「寄贈先が見つからなくて苦労しましたが、運命的なものを感じますね」と喜んでいる。
手元に残った赤松は1本。「責任を持って育て続けます。将来、赤松が大きくなったら、その云われを紹介する立札も立てたい」と意気込んでいる。
![]() 寄贈した赤松
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