神奈川県が2月12日、昨年に実施した第20回国勢調査の速報値を発表した。速報によると、座間市の総人口は前回(2010年)の12万9436人からマイナス0・6%の12万8651人で、調査が開始された1920年以降初の減少となった。市の人口は今後右肩下がりとなり、2060年には8万8895人まで減ると推計されている。
頭打ち、右肩下がりへ
国勢調査は国が5年に1回実施している調査で、外国籍を含む全ての人が対象。性別や生年月日、住居地、住居の種類など全17項目について調査し、統計結果を公表する。
今回の速報は、調査票を県が独自に集計。県の総人口は912万7323人となり、前回から0・9%増加した。
近隣市は増加傾向
座間市の人口が減少した一方で、近隣では多くの自治体が増加を続けている。隣接する大和市では、増加率が県内4位となる昨年比2・1%増となったほか、海老名市は2・0%(同5位)、綾瀬市は1・6%、相模原市も0・5%増加した。県内1位は4・0%増の開成町だった。
前回調査での人口増から減少に転じたのは、座間市を含め9市町。鎌倉市、秦野市などが減少した。
栗原では約4割減
同じ市内でも人口減少率にはエリアにより差が生じると見られている。市企画政策課が昨年10月に公表した「座間市人口ビジョン(案)」によると、2015年から2060年までの45年間で最多の減少率が見込まれるのが栗原(38・5%減)で、明王(37・2%減)、入谷(37・1%減)が続く。
一方、15歳から64歳までを指す「生産年齢人口」でみると、最も減少するのが相模が丘(49・6%減)で、入谷(49・0%減)、小松原(48・9%減)が続いている。
市財政にも黄色信号
また、同案によると2010年時点で171億2828万円あった地方税は、人口減少により2040年に147億9489万円まで減少する見込みだ。さらに、今から44年後の2060年には117億6358万円まで落ち込むと見られているが、生産年齢人口の減少を考慮すると、より減収スピードが速まる可能性もあるという。
財政のひっ迫により懸念されるのが公共サービスの質と量の低下。特に、福祉サービスやインフラの維持管理などへの影響が強く懸念されている。
市も財政ひっ迫への危機感を隠せない。同案の中で市は「今後老朽化が進み耐用年数を超えていく道路等の社会資本の維持管理が困難となる時代の到来が予想されます」として、黄色信号を発している。その施策目標の一環として、特殊出生率の上昇や、推計人口を上回る人口規模などを掲げている。座間市人口ビジョンは、3月末までに正式に公表される予定。