相模が丘の文具専門店「細金(ほそかね)文房具店」(相模が丘4の3の1、【電話】046・252・0839)が12月20日(木)で閉店し、50年の歴史に幕を下ろす。座間で営業を続けてきた小さな店が、また一つ姿を消す。
ジャポニカの学習帳に筆記用具、半紙や絵具…。細金文房具店は、1968(昭和43)年開業。店主の細金みね子さんが、夫の仕事の都合で横浜から越してきた際、当時1歳だった長男を抱えながら自宅でできる商売はないかと始めた店だ。当時はどこも道が舗装されておらず、畑や木造の家が点在する程度だったが、たまたま自宅周りに牛乳屋や雑貨屋、花屋などの商店が連なっていたことや、相模野小学校(1962年創立)が近くにあったことなどから、文房具店としてスタートした。
朝、子どもの世話をしながら7時半には店を開け、小遣いを握りしめてノートを買いに来る児童を迎え入れた。放課後から夕方の時間帯が混雑しやすいため、昼ご飯をかきこんだら急いで夕飯の下ごしらえに取り掛かるのが日課だったという。「3年後に長女が生まれ、おんぶしながら店に出ていました。高校に受かったことを伝えに来てくれる子もいて、店に来る子とのおしゃべりも楽しかったですね」と当時を懐かしむ。
子は2人とも巣立ち、ひ孫の顔も見られた。77歳になり、「元気なうちに店仕舞いを」と夏ごろから準備を始めてきた。近所に住み、よく同店を利用するという女性は、「包装紙が一枚ほしいとき、ここの方が大型店に行くより近いし手軽に買いやすかった。閉店すると聞いて悲しい」と肩を落とす。近隣の学校関係者は「遠足のおやつを買いに、児童がよくお世話になった場所」と話した。12月に入り、入口に閉店を知らせる貼り紙を掲示すると、かつて来てくれた子が何人か訪ねに来たという。「自分の子の成長と一緒に、地域の子の成長も見られた。最近体力づくりを始めたから、来年は旅行にでも行きたいですね」と穏やかに話した。
現在、売り切りのため商品は少なく、文具の他に凧や羽子板などの正月おもちゃ、駄菓子などが陳列されている。営業時間は10時から午後5時半。日曜定休。
![]() 創業当時の店先(上)と、現在のたたずまい(下)
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