太平洋戦争中に「高座海軍工廠」で製造された航空機「雷電」の部品が市内に住む大矢隆男さん(66)の自宅で発見され、座間市に寄贈された。市教育委員会によると、市内で「雷電」の部品が発見されたのは初めて。
今回発見・寄贈された部品は、太平洋戦争中に現在の座間市、大和市、海老名市、綾瀬市にまたがって設置された航空機工場「高座海軍工廠」で、アメリカの爆撃機B29を迎撃するために製造された航空機J2M3「雷電二一型」の操縦席前部にあたる、胴体上部の外板。市教育委員会が鑑定を依頼した航空史家の古峰文三さんらによると、実装するための部品が欠けていること、リベット(鋲)の打ち方が一般的な量産品と比較して精微であることから、この外板は、工廠で働く少年工たちが雷電を製造する際に見本にしていたもの(工作見本)である可能性が高いという。また、雷電はアメリカのブレーンズ・オブ・フェイム航空博物館で保管されているものが世界唯一の現存機で、工廠で製造された軍用機というだけでなく、電気溶接やプラスネジを最も早く導入した当時では最新の機械製品であるため、今回発見・寄贈された部品は、当時の機械技術を知る貴重な産業遺物になるという。
部品が発見されたのは、市内に住む大矢隆男さんの自宅の庭。父の代まで農業を営んでいたためにあった作物を貯蔵するために掘られた穴のふたとして利用していたという。大矢さんの自宅にこの部品が持ち込まれた詳しい経緯は不明だが、大矢さんの叔父は工廠で働いていたといい、その叔父から「雷電のものだ」と聞いていたが「そんな貴重なものだとは思っていなかった」という。そんな中、昨秋、大矢さんが市教育委員会で教育委員を務める鈴木義範さんと偶然この話をする機会があり、部品を市に寄贈する運びとなった。大矢さんは「座間市の歴史にとって貴重なものとわかり寄贈させていただいた。座間市には戦時中に工廠があり、台湾から少年工がやってきてこの雷電を造っていたことを皆さんに知ってもらうきっかけになれば嬉しい」と話した。遠藤三紀夫市長は「歴史の大きな一コマとして末永く大切に保存させていただき、後世に伝えていきたいと思います」と話した。
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