ひきこもりなどで就労経験が少ない人の社会的な自立をサポートする座間市就労準備支援事業「はたらっく・ざま」がこのほど、日本協同組合学会・学会賞の「実践賞」を受賞した。2017年10月にスタートした同事業のこれまでの取り組みが評価された形だ。
「はたらっく・ざま」は、単なる就労支援ではなく、生活習慣やコミュニケーション能力の改善といった生活力を養うことに重点を置いた“就労する前の段階の支援”を積極的に行っている。その上で市内の協力事業所で就労体験を行い、履歴書の書き方の指導や模擬面接を経て、市内での就労につなげている。また昨年から、就労後の支援にも注力。3カ月ごとに面談を行い、同じ事業所で1年間働き続けることができるよう、サポートしている。
運営するのは、座間市から委託を受けた生活クラブ生協、ワーカーズ・コレクティブ協会、さがみ生活クラブの3者による共同企業体。中でもワーカーズ・コレクティブ協会は、障害者や無業・失業中の若者、生活困窮者、地域で孤立している人などが社会的に自立するための支援を協会が持つネットワークを生かして約15年取り組んできた。今回は、そうした下地を生かしながら3者が協力して行ってきた「はたらっく・ざま」の取り組みが評価された。
日本協同組合学会は、研究者と実践家が協同組合運動のあり方を学術的に研究することを目的とする学会で、毎年、春と秋に大会が開催され、各地の様々な取り組みが紹介されている。「はたらっく・ざま」は今回、協同組合の発展に貢献し得る優れた実践やその記録に対して贈られる「実践賞」を受賞。「現在各地域で深刻な問題となっている『働きにくさ』を抱える人たちや生活困窮者を支援する就労支援・就労訓練活動を展開し、就業機会の確保に留まらず、より高次の『生きる・生活する場所』づくりを成し遂げていること、『協同労働』の可能性を多くの人に訴求する点でも、極めて有用な事業・活動であることなどが評価できる」とされた。
今後は、支援対象が現在の中心である10代や20代だけでなく40代や50代、定年退職後の高齢者や外国人にも広がることが予想される。事実、はたらっく・ざまにも40代や50代の相談が増えているという。
ワーカーズ・コレクティブ協会の岡田百合子さんは今回の受賞に関して「これまでやってきたことが間違っていなかったということだと思う。スタッフの励みになれば」とし、今後は、支援対象が広がることで「支援の仕方を対象によって変えなければならなくなってくると思う」と話した。
さがみ生活クラブの佐藤英二郎さんは、支援の対象となる人への地域の理解を深めるためにも「組合員の支援への参加を促す方法を模索し、『応援団』を地域の中に広げることが大事だと思う」とし、就労後、生活することになる地域に、「そうした人たちを見守る雰囲気をつくり、地域の中にも居場所をつくることが必要になる」とした。
座間版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|