▽愛川町中津の料亭「魚秀」(有限会社ミタス・志村栄英代表取締役)が食品衛生事業功労者厚生労働大臣表彰を受賞。11月2日に愛川町役場で伝達式が行われた。創業から56年間、食品衛生での無事故などが高く評価された。志村代表取締役は「大きな表彰をいただいて嬉しいですね。親子2代で続けてきたことが報われた思いです」と満面の笑みで語る。
▽先代が愛川町中津で鮮魚店「魚秀」を開業したのは、東京オリンピックが開催された1964年。「場所は同じですが、敷地の広さは今の7分の1くらいでしょうか。小さなお店から始めたんです」と志村代表取締役は振り返る。当時は家での結婚式など仕出しの依頼も多く、素材にこだわり良いものを提供する同店は徐々に業績を伸ばしていった。しかし、時代の流れとともに社会も変わり、小売業は大手のスーパーや量販店に押されていく。この流れに素早く対応し、1980年に鮮魚店から料亭へと大きく舵を切った。仕出しで味の評価が高かっただけに、料亭として浸透するのに時間はかからなかった。
▽現在同店を取り仕切る志村代表取締役は、大学卒業後に料理の道へ進んだ。調理師学校を卒業し、新宿で修業の日々。日本料理の世界では不利な「左利き」だったことや、大学卒業後という遅めの修行入りなど苦労は多かったが、「時間がかかっても良いから、基本をしっかり身につけろ」という先代からの言葉を胸に、腕を磨いていった。修行を終え同店でも誠実な仕事を心がけ、中津飲食店組合や愛川町食品衛生協会などで要職を歴任するなど、地域の信頼も厚い。
▽現在は、志村代表取締役と長男の親子が厨房を支える。新型コロナの影響で飲食業界も苦しいが、従業員への衛生教育や間隔を空けた座席配置、予約制の営業など、対策を徹底している。「新鮮で良いものを、綺麗にお届けする」。新しい生活様式にあわせながら、丁寧な仕事を日々積み重ねる魚秀の伝統は、変わらず次の代に受け継がれている。
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