愛川町半原で明治期から続く「半原ワサビ」を後世まで残そうと、今年1月下旬から町内の農家やまちづくり団体、飲食店経営者などが集い、「半原ワサビまちづくりプロジェクト」がスタートした。2月17日には、半原で初の勉強会が開催された。
半原ワサビは今から約130年前、半原に住む染矢九一氏が丹沢の山中から野生種のワサビを持ち帰り、半原の沢で栽培を始めたのが始まり。味が良く色鮮やかなこのワサビは「半原」と名付けられ、1922年の平和記念東京博覧会で銅賞を獲得する品質だった。
また、明治39年にワサビの産地である伊豆で軟腐病が流行しワサビが壊滅的な被害を受けた際、救援のために送られた半原のワサビは軟腐病に耐え、伊豆ワサビの救世主とも呼ばれたという。
しかし、品種改良されたものに比べ生育が遅く、「半原」は次第に栽培されなくなり、今では染矢家の沢に300株程が残っているだけとなっている。
貴重な資源に有志が結束
この地域の宝を後世に残そうと、町内農家やまちづくり団体、NPO法人、飲食店経営者など17人が集い「半原ワサビまちづくりプロジェクト」を立ち上げた。
2月17日の勉強会では、参加者が半原ワサビの特徴や現状を学び、実際に栽培されている沢の見学なども行われた。
ワサビ栽培には一定の水量、水温、水質が必要なため、どこでも栽培できるというわけではない。現在半原ワサビを継承している染矢敬一さんは、「土の質など、条件が整った場所は少ない。台風の土砂崩れやイノシシの被害などもあります」と苦労を語る。
採りたてのワサビは、すりおろすと爽やかな香りが広がり、口に入れた一瞬辛味があるものの、雑味が無くスッと清涼感だけを残して消えていく。試食した参加者たちからも「美味しい」と好評を得た。
プロジェクトでは今後、「保護・伝承部会」「栽培部会」「利用・まちづくり部会」など役割に応じた部会を設置し、半原ワサビを継承。栽培面積を拡充するほか、商業利用の充実としてメニュー開発も行い、地域特産品としてまちづくりにつなげていく。
発起人の一人でプロジェクトの会長を務める五月女智一さんは「半原のワサビを130年守り続けてきた染矢さんに敬意を払いつつ、これから100年先の後世にも伝えていきたい。今回の勉強会はその第一歩です。プロジェクトに賛同していただいた皆様の力を合わせれば、難しいこともきっと乗り越えられます」と話す。
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