建物を持ち上げて移動させる珍しい工法「曳家(ひきや)」の工事が8月6日、厚木市小野で行われた。
この工法は、建物を解体せずにそのまま移動することができる伝統技術。家屋や土蔵のほか、城などの歴史的建造物を移設する際などにも使われる。
今回の曳家工事の現場は、築100年以上の土蔵で総重量は約160t。曳家を指揮した株式会社長谷川土建(藤沢市葛原)代表取締役の長谷川一夫さんは「ここまでの重たい建物を手掛けるのは初めて。壁がわずかでも傾くと建物に負荷がかかるので、細心の注意を払って水平を維持しなくてはならない」と表情を引き締める。
工事は6月上旬から始まった。土蔵の周辺を掘り、基礎を切って約80cm持ち上げた後、基礎に穴をあけ鋼材を差し込み固定。土蔵の下に枕木を並べ、レールと電動ジャッキを設置した姿は、さながら電車のよう。「曳家では様々な手法があるが、ワイヤーで引くと重さで切れてしまうので、今回は電動ジャッキで押していきます」と長谷川さん。いよいよ土蔵を動かす8月6日は、職人たちが慎重に点検を行った後、作業が始まった。
電動ジャッキが1回に動かすのは約50cm。建物への負荷を避けるため、じりじりと動かしては再設置を繰り返し、約25m離れた場所に移設した。土蔵を曳き終えて長谷川さんは「無事定着できてひとまず安堵しています」と話した。移設後は周辺を含めた仕上げが行われ、8月末までには工事が完了する予定だ。
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