ホテルカリフォルニア
私の作品に『ホテルカリフォルニア 私戯曲・県立厚木高校物語』という作品があります。私小説の舞台版で、厚木高校での個人的な思い出を舞台作品にしたものです。二十五年前に新宿紀伊國屋ホールで上演して話題になりました。その噂を聞きつけて当時の山口巌市長が観に来て下さり、それまで厚木とは関係なく活動していた扉座と文化会館を繋いで下さったのでした。
ところでこの作品、決して厚木高校を礼賛したものではなく、むしろいかに歪んだ、そしてショボイ青春しか、そこになかったかを面白おかしく描いたものでした。当時、青春物と言えば不良の話が王道であり、進学校のリアルな青春紀が珍しがられたのです。ただし日本全国に似たような進学校があり、悩みがあったらしく、共感してくれる人が同窓生以外にも続々と現れたのです。
扉座四十周年の今年12月、この作品を再演することに決めています。私たちが高校生だった頃から四十五年が経ち、もはや遠い昔話だと思いますが、私たちの劇団の原点の物語であります。劇中、剣道部から演劇部に転身するオカモト君という高校生が登場します。これは私の同級生で、一年後輩の六角精児とともに劇団旗揚げからのメンバーである岡森諦のことで、初演時も岡森本人が演じました。彼は間もなく還暦を迎えます。そして17歳の自分、オカモト君をまた演じます。演劇史でも前代未聞です。今から楽しみで仕方ありません。
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