食品リサイクルや飼料自給率向上のため、全国的に食品工場の規格外品などを利用した飼料「エコフィード」の活用が進んでいる。県が今年度取り組む、普及に向けた実証実験に、厚木市で養豚を営む有限会社臼井農産が協力。飼料価格高騰も背景に、全国の注目を集める。
丹沢山系の山に囲まれた農場で育つ豚たち。夢中になって食べているのは、パスタやビスケット、インスタントラーメンなど約10種の食材を混ぜ込んだ「エコフィード」。豚の体調やその日の気温、入ってくる原料などに合わせ、日々配合を変えているという。代表の臼井欽一さんは「この配合を変える手間が、輸入飼料との差。でも、肉質の仕上がりはその手間を上回るメリット。『あつぎ豚』ブランドの価値を高められる」と豚舎を期待を込めた眼で見つめる。
エコフィードの活用が広まったのは、2007年の食品リサイクル法改正。「食品残渣」の飼料化を優先することが明記され、さらに近年では「フードロス」対策の浸透から推進が加速した。工場側は、廃棄に必要な費用が解消できるばかりか、販売で収益があげられることがメリットとなっている。
また、国際情勢の変化などから、家畜用の輸入飼料の価格が高騰。価格の安定しているエコフィードに注目が集まっている。臼井農産でも導入以来、飼料代が平均で1割ほど削減できたといい「経営計画も立てやすい」と話す。
飼料の地産地消県内取引を推進
県は2010年にエコフィード相談窓口を設置。県内には食品工場も多く「県内取引で、飼料も含めた地産地消が実現できる。輸送費削減にもなり、SDGsとしても複数の目標達成に繋がる」と期待を寄せる。
今年の4月から6月にかけ、NTT東日本と連携し、ネットを活用し、スムーズな取引を手助けできる新たなマッチングプラットホームの実証実験に取り組んでいる。県は「臼井さんらの力も借り、よりよいエコフィードの仕組みができれば」と話した。
![]() エコフィードを食べる豚たち(NTT東日本提供)
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