厚木市飯山で「あつぎ飯山野良の芸術美術館」を運営する小島富司さん(75)は、いま蚕の世話で忙しい。7月上旬にふ化した幼虫は、2〜3cmほどに育っている。
小島さんが蚕を始めたきっかけは、自身の祖父母が養蚕を手掛けていたことだった。自宅に糸をつむぐための道具や、蚕の神への信仰を伝える掛け軸が遺されていた。
市内三田で養蚕を手掛けていた人から道具を譲り受け、8年前に手探りで養蚕を始めた。試行錯誤するうちに、愛甲郡・上古沢村出身で、海外でも活躍した養蚕技師・外山亀太郎(1867〜1918)の足跡を知り、さらに蚕の世界に没頭するようになった。
昨年採取した卵は今年の春に一度ふ化させて繭(まゆ)にしており、現在育てているのは今年2回目となる幼虫。春になると近所の桑の葉が開くのとほぼ同じタイミングで卵がふ化する。不思議と夏の方が育ちが早い。平らな場所に載せていても、逃げ出すことはなく、食欲旺盛で一日3回与える桑の葉を食べつくす。例年8月初旬になると体が少し透け、動きが鈍る。このタイミングが、細かく仕切った「まぶし」に入れてやる目安だ。仕切りの中で糸をはき繭になるものがほとんどだが、抜け出して繭になる直前に天井などに移動する蚕もいる。
「蚕は学校の教材としての可能性もある、かつて海外にも輸出され日本の経済を支えた歴史を知ってほしい」と小島さん。いつかは糸で機織りすることが目標だ。
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