厚生労働省は9月10日から16日までを「自殺予防週間」と位置付けている。厚木市ではこのほど、「厚木市自殺対策計画(第2期)」を策定。自殺者の傾向を踏まえて「重点サポート対象者」を選定し、5カ年の計画期間内に自殺死亡率を3割以上減少させる目標を掲げた。
計画によると、市内の年間自殺者は2018年から21年まで30人台で推移し、22年には44人に増加。人口10万人あたりの自殺死亡者数を示す「自殺死亡率」では14年から県を上回る状況が続き、22年には全国・県の割合を大きく上回った。
男女別では、18年から22年の自殺者計180人のうち、男性が129人、女性が51人。最も多い年代は男性が40代で28人、女性は30代と70代で各10人だった。20歳未満の自殺者は男性が7人、女性はゼロだった。
原因最多「健康問題」
自殺の原因・動機について、不詳の63件を除いて最多は「健康問題」で61件、次いで「家庭問題」が42件、「経済・生活問題」が31件、「勤務問題」が17件だった。
特性別では、「男性60歳以上無職同居」が失業・退職後の生活苦や介護疲れ、身体疾患などを理由に命を絶つケースが多く、市内でも同5年間で16人(8・9%)の自殺者がこの特性に当てはまった。
若い世代では、「男性20〜39歳有職同居」に該当する自殺者が12人(6・7%)に上る。いわゆる「ブラック企業」での勤務による職場の人間関係や仕事の悩み、パワハラ、過労などを理由にうつ病を発症するケースが考えられるという。
3種の支援対象者
計画では、17年から22年の自殺死亡率の平均16・7に対し、計画期間内の23年から27年の平均値を3割以上の減となる11・7以下にする目標を掲げた。
具体的な取り組みに向け、市では市内における自殺者の特徴を踏まえて支援を優先すべき対象者を「高齢者」「生活困窮者」「勤労者」に設定。高齢者向けには、生活や介護に関する相談窓口の周知や社会参加の後押し、高齢者支援ネットワークの強化を図る。
生活困窮者の自立支援に関する相談はコロナ禍以降急増しているといい、当事者からのSOSを迅速に察知するための市職員の資質向上や、相談窓口の情報を届けるための周知方法改善などに取り組む。勤労者対策としては、長時間労働やハラスメント問題に対してメンタルヘルスの普及啓発を図るほか、働きやすい環境づくりに向けて関係機関との連携を強化するとした。
市健康医療課では「県の機関や庁内各課との連携を通して、自殺者が一人でも減るように取り組みを進めていきたい」と話している。
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◆神奈川県「こころの電話相談」【電話】0120・821・606(24時間)
◆厚木市「いのちのサポート相談」(臨床心理士によるこころの健康相談・予約制)9月19日(木)9時・10時・11時/市保健福祉センター2階/【電話】046・225・2201市健康医療課
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