あつぎ文化芸術特別大使、市文化会館芸術監督として、厚木市の文化振興に大きく貢献している劇作家・演出家の横内謙介さん(57)。厚木と演劇についての想いを「豊かさ」をキーワードに話してくれた。
厚木の数々の事業に関わる横内さん。そこで感じるのは「厚木の力」だという。特に2014年に始まったあつぎミュージックフェスティバルは、大手代理店ではなく厚木のスタッフ、スポンサーで作っている。「厚木だけでこれだけのものができるのは、この街が長い歴史を持ち、人が長く住み、この街を愛していて、何かできないかという想いが溢れているから」と横内さん。そして「こういう人材や想いは街の中にまだまだ埋まっている気がする。厚木には大きなアドバンテージがある」と力説する。
演劇の可能性
劇団活動とともにスーパー歌舞伎、ミュージカルなどに作品提供し、輝かしい賞歴を持つなかで、厚木での活動は「演劇の可能性」を知る機会になっている。演劇体験のワークショップや市民参加の劇を作り、舞台アカデミーでは子どもたちの育成に関わる。「芝居ってこんな風に人を変えていくんだ、という発見があるし、コミュニケーション能力の開花に演劇が効果的だと気付かされた。それが僕たちの演劇にもフィードバックでき、豊かなものになっている。演劇は演者と観客で完結する世界だけど、厚木だからこそ、市民の中に溶け込めて、世の中と繋がることができた」と話す。
これからも、厚木に腰を据えて活動を展開するという横内さん。「厚木で全国から人を呼べる野外ライブをやりたい」という構想も温めている。そして、厚木で「育った」と言われる俳優をもっと増やしたいという。「厚木の人たちに喜んでもらえるように、もっと大きな仕事をして、名を売り、厚木で育ててもらった凱旋みたいなものをしっかりやりたい」と意気込む。
「心の中の豊かさ」
新時代に向けての抱負を「価値観を転換させたい。豊かさの概念を変えたい」と熱を込める。「演劇の凄さは、記録映像は可能だけど、デジタル化が絶対できないところ。できた端から消えていくもので、留めることにあまり意味がない。観客も舞台上も、その瞬間を共に過ごすしかない不思議なもの。それは、いかに貯める、コピーして増殖していくかが豊かさの証でもある今の価値観とは違う部分だと思う。僕たちは一瞬にして消えていくものに投資、命をかけている。それを豊かさだと信じている。世の中の人がその比重を大きくしていけば、いろいろなものが解決されていくと思う。何が残るのかと言えば、心の中の豊かさしかないけど、みんながそのことに目覚めていけば世の中は変わる。僕たちは仕事でそのように人を変えていきたい」
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