社会を包む不安を払うように、闇夜に大輪が咲いた――。新型コロナウイルスの収束を願い、全国一斉に花火を打ち上げる「Cheer up!花火プロジェクト」。厚木市からは(株)ファイアート神奈川が参加し、6月1日に棚沢スポーツ広場で花火を打ち上げた。
このプロジェクトは、新型コロナの収束を祈願するとともに、全国の人々に元気を届けようと日本煙火協会の青年部有志が企画。全国から160社が参加した。
感染防止のため、観客が密集しないように打ち上げ場所は非公表。打ち上げ日と午後8時という時間だけが発表された。
当日の厚木市は朝から霧雨が続いたが、打ち上げ時間になると一筋の光が駆け上り、大輪が夜空を飾った。打ち上げたのは約40発。費用は全て同社が負担した。
明治40年創業の同社。通常なら年間約50カ所で約3万発の花火を打ち上げる。花火の仕込みは昨夏から進められるため、コロナ禍の前には今年使用予定の花火は8割が作られていた。だが、今夏の打ち上げる機会は「ほぼ全滅です」と和田順代表取締役社長は肩を落とす。内部の薬品の品質を考慮すると、使用できるのは約1年間だという。
和田社長は、プロジェクトを企画した青年部のOBということもあり、二つ返事で参加を決めた。「私たちにできることで、少しでも皆様に元気を届けられたら」と笑顔をみせる。8月までのイベントもほぼ中止で「収入は見込めない」状態。それでも和田社長は今回の成功を受け「チャンスがあれば花火をあげたい。いろいろ仕掛けていきますよ」と前を向く。子どもから大人まで魅了する花火。職人たちの技と心意気に、炎はより鮮やかに輝く。
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