生命維持装置
1年半ぶりの厚木での扉座公演が近づいています。お陰様で、予定座席は早々に完売で、今はキャンセル待ちの状態です。感染予防の為に席数を制限しているという事情が大きいのですが、それでもこんな時に、我々の芝居を楽しみにして下さる方が大勢いて下さることに励まされます。
『解体青茶婆』という新作のお披露目です。江戸時代の蘭方医・杉田玄白とその周囲の人々の物語です。コロナ禍で、科学や医療のことを考える機会が多くなり、次は是非医療をテーマにした作品を創ろうと思いました。青茶婆というのは打ち首になった殺人鬼の婆さんです。明和8年3月4日、この極悪人の死体解剖を玄白ら、蘭方医数名が見聞したことがオランダの人体解剖図鑑『ターヘル・アナトミア』の翻訳出版につながり、我が国の医学発展の契機となります。
エンタテイメントを標榜する扉座には珍しく、シリアスなストレートプレイです。しかしこんな時に劇場に来て下さるお客様には、演劇の間口を広げる楽しさよりも、今この時にわざわざ観て頂く深みある作品をお届けしたくなりました。この時代に不要不急のものとして扱われがちな演劇ですが、不要ではない、むしろこの世に当然在るべき生命維持装置であると感じて頂けるように魂を込めて製作に取り組んでいます。
厚木公演の後には場所を東京の高円寺に移し、7月11日まで公演します。御都合がよろしければ是非、そちらにも。
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