戦中戦後に庶民の足として活躍したバスを復活させた「三太号」が、8月27日に市内で開かれた小田急と神奈中のイベントに登場した。
動力は薪で「代燃車」と呼ばれる。明治後期にヨーロッパ各国で開発され、国内では昭和初期にガソリン節約のために奨励された。同社でも代燃車バスを運行していたが、ディーゼル車の普及もあり戦後7年ほどで全廃した。
この車両は40年ほど前の神奈中60周年を記念し、当時の工法などに基づいて、8カ月かけて製作された。1950年式消防車両を基に当時のバスの骨格などが使われている。飛行機のように丸みを帯びた外観で、車内には昔の運賃表が掲示され、本厚木駅〜横浜駅間は60円とある。窓の片隅に小さな花瓶が飾られ、昭和の空気が漂うようだ。三太号の名は戦後に人気のあったNHKの子ども向けラジオ番組「三太物語」にちなんでいる。車両後部の円筒形の炉に薪を入れていぶし、焚き付け時に使う風車を回す。発生したガスを棕櫚(シュロ)を使った装置で濾過したり、冷却するなどして、エンジンに送った。
ここ5年ほどは始動させていないが、数年前には実際に薪を燃やして民間の敷地内で動かした事もあった。同社の二挺木透副整備長によると、薪を燃やして黄色味がかったガスが出始めたころが「いい煙」の合図。キーを回してすぐ走れる現在の車とは違い、ここまでに時間がかかる。
アクセルを踏むとガソリン車よりも力は控えめだが、迫力あるエンジン音が響いたという。エンジンを止めた後も装置は熱くて触れず、燃えかすなどの掃除は翌日に行ったようだ。修理が必要になることもあるが、交換部品は入手が難しい。二挺木さんは「担当していて感慨深いです。次の世代に引き継いでいきたい」と語っていた。
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