▼標高1673メートルの蛭ヶ岳を頂とする丹沢山系と大山を擁する連山は「丹沢大山国定公園」として国に保護され、自然公園として県も重要な役割を果たしている。国定公園の指定は1965年で総面積は神奈川県の16%を占め、指定からほどなく60年を迎える。山麓に広がる厚木、伊勢原、秦野、愛川、清川の5市町村が18日、広域連携のギアを上げる協定を締結した。同じ枠組みの観光連携は従来もあったが、行政課題の解決に対象を広げた連携協定は歴史的な取り組みだ。都市間競争から「都市間協調」への転換も、少子高齢化や人口減少社会に直面する地方自治体の持続可能なあり方に資する動きだ。
▼厚木市役所で行われた調印式には5人の市町村長が顔をそろえ、異口同音に「都市間協調」を唱えた。そのシンボルに「丹沢・大山」を据え、まずは観光圏の魅力を面で発信し、国内外の耳目を集めたい考えだ。加えて、新東名高速道路や国道246バイパスの開通もにらんだ災害対策やデジタル技術(DX)の活用、カーボンニュートラルの実現など行政課題の解決でも協調する。一方で、総務省が展開する連携中枢都市圏構想や将来の合併協議とは一線を画している。その感度を5市町村が共有して新たな局面に立った。そうした広域連携が厚木市を中心に成立したことは、今年5月にスタートした山口市政のはずみにもなる。
▼丹沢と大山の山並みは、私たちが共有する地域資源であり誇りでもある。当地を離れた人たちにとってこの「やまなみ」は望郷の象徴で、ふるさと納税を引き込む要素にもなっているだろう。この圏域から県政に向けた要望はこれまで、5自治体の職員から県の出先機関を経由して県知事に届けられていたが、8月24日に首長5氏が揃って県庁に出向き、財政支援を含む具体的な要望を県知事に手渡すという。「県央やまなみ連携」は、日頃の地域では見えづらい国県への要望強化にも繋がる動きといえる。今後は圏域住民がこの連携を実感できる成果も求められる。
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