愛川町多言語機能別消防団のまとめ役を担う 山下 ジューリア真由美さん 厚木市中依知在住 54歳
多言語駆使し災害支援
○…内陸工業団地を抱える愛川町では、約3500人の外国籍住民が暮らす。災害時に言語や文化の違いにより孤立してしまわないよう、母語で支援するのが「多言語機能別消防団」の役割。国籍も様々な7人の団員が諸国の言語を話す珍しい組織だが、「ただ外国語を話すだけでなく、消防職員の指示を伝える通訳としての役割や、人助けの精神をもって活動したい」と意気込む。
○…日系3世としてブラジルで生まれ、20歳の時に家族6人で来日。工場で働いていた際は「今よりずっと痩せていたので、重い荷物を持つと周りのおじさんたちに心配されました」。レストランのホールスタッフも経験し、敬語や接客用語は先輩スタッフから学んだ。周囲の支えのおかげで日本で生活を送れたという気持ちがあるからこそ、町消防本部から同消防団結成の相談を受けた際は「これまでの恩返しという気持ちで」と快諾。顔の広さを生かして団員集めも買って出た。
○…東日本大震災では、地震に対する日本人と外国人の対応の違いを痛感した。震災当時は、勤めていた幼稚園に通うブラジル人の園児を連れて小学校を見学中だった。激しい揺れにも児童が冷静に避難行動を取る中、園児らはパニックに。保護者とも連絡がつかず、最後の園児を引き渡したのは夜10時。そんな経験から、外国籍住民にも避難訓練の大切さを伝えたいという。
○…愛川国際交流クラブの副会長として国籍を超えた町民交流イベントを企画するほか、県の外国人相談窓口やかながわ労働センターなどで相談業務を担うなど、多文化共生社会の実現に向けて東奔西走。「土・日の予定は埋まりっぱなしです。週末に家にいると息子に心配されるほど」と大らかに笑った。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
9月6日