清川村の環境を生かした農業を通じ、障害者雇用も生み出そうという清川ファーム(株)(中倉敬三代表取締役農場長)のプロジェクトが立ち上がった。村内初のシャインマスカットとともにワイン用のブドウ栽培もスタート。村の新たな特産品を目指す。
清川ファーム(株)は、地域に根差した農業を通じて軽度の知的障害や高次脳機能障害のある人の就農などにもつなげようと、2023年に設立。難病患者や障害者らのサポートを行っている(一社)Kimie Support Societyの鈴木健一郎代表理事が発起人となり、中倉さんに責任者を依頼した。
中倉さんはもともと競走馬の育成に長年携わってきたが、調教中に負傷して引退。時期を同じくして舞い込んだ農業への誘いに「面白そう」と挑戦を決めたという。
同ファームは、【1】果実・野菜の栽培・販売事業【2】農業を活用した軽度知的・高次脳機能障害者の雇用【3】障害者支援事業を支える地域雇用創出事業【4】農業製品の全国販売による清川村ブランディング事業【5】農業系学生の就労機会と農家起業支援事業【6】農場で生産したブドウを利用したワイナリー設立事業-を活動の柱に据える。
昨年から煤ヶ谷(すすがや)で行っていた造成が終了。今年4月からワイン用のブドウ苗5種をポット栽培で、シャインマスカットの苗をハウス栽培で育て始めた。中倉さんは農業技術顧問の指導を受けながら、地元住民や東京農大厚木キャンパスの学生アルバイトの手も借りて連日ブドウ作りに汗を流している。
中倉さんは「ワイン用のブドウが醸造できるほどに育つには3〜4年、シャインマスカットは再来年にはある程度収穫できるのでは」という。「初めてのことばかりで、作業以外にも獣害対策などが落ち着いてからでないと、障害者雇用にも踏み切れない。そちらの開始は今年末から来年になると思う」と今後を見据える。
清川村の大自然を舞台に始まったワイン栽培に、中倉さんは「遊休地を有効活用し、清川村のきれいな水を利用したチャレンジ。新たな特産品誕生と障害のある方の雇用に結び付けば、こんなうれしいことはない」と情熱をたぎらせている。
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