有害鳥獣対策で捕獲されたシカ1頭分の枝肉が6月25日、食肉処理施設「阿夫利山荘」(磯崎敬三代表/子易)から柏木牧場(柏木清代表取締役社長/小稲葉)に出荷された。枝肉はソーセージやジャーキーなどに加工、販売される。「市の新たな特産品で街おこしを」と始まったこの取り組み。市農業振興課によると、有害鳥獣が正規のルートで流通するのは珍しいという。
きっかけは3年ほど前。猟友会のメンバーで大山高部屋有害駆除班代表の磯崎敬三さんが、有害駆除で捕獲した野生鳥獣を有効活用できないか模索していた。一方、柏木牧場代表の柏木清さんは、狩猟した野生の鳥獣を食材に用いる「ジビエ」のブームに着目。40年以上におよぶ食肉加工技術を使って地域貢献ができないかと考えていた。
そんな両者の思惑が一致し、ジビエで街おこしの計画がスタート。今年3月には県内初となる野生動物の食肉処理施設「阿夫利山荘」が市内子易に完成し、流通に必要な自治体や保健所の認可、衛生管理体制なども構築されていった。
安全に配慮し地域貢献を
6月25日に続き29日には2頭目のシカの枝肉が出荷された。衛生管理のため肉の一部は市役所に持ち込まれ、放射線検査を実施。2頭の検査はすでに行われ、いずれも基準値以下だった。柏木さんは「シカ肉はクセがなく低脂肪で若い方の味覚にも合うのでは。安全性に細心の注意を払いながら、喜んでいただける商品を作りたい」と語る。
阿夫利山荘の建設費は磯崎さんら有害駆除班が一部負担した。柏木さんも本筋の牧場運営と並行しながら採算度外視で加工品の生産にあたっている。磯崎さんは「これからも動物の命を大切にしながら地域活性化に貢献していければ」と話している。
柏木牧場によると、シカ肉の加工品は捕獲状況に応じて随時販売予定。価格は時価という。
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