伊勢原市民文化会館大ホールで12月8日、世界で最も影響力がある100人に選ばれた社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子氏による講演会が開催され、1300人収容の会場がほぼ満員となる盛況ぶりだった。主催は医療法人社団杏月会伊勢原駅前クリニック(堀江修院長)、伊勢原市医師会と伊勢原市が後援。
テーマは「住み慣れた家で最期まで」。外来診療に加え、2018年から訪問診療を開始した同クリニックの堀江院長は「多くの著書や講演で在宅での看取りについて発信されている上野先生に講演していただき、一度しかない人生を悔いなく過ごすために今何をすべきかを考える機会としてもらいたい」と話した。
登壇した上野氏は「おひとりさまの上野千鶴子です」と自己紹介。「おひとりさま初心者はさみしさを感じるが不安はあまりない。ベテランはさみしさも不安もない。一番悲しいのは気持ちの通じない家族と同居しているお年寄り」と話す。
講演では世帯分離や施設入居、地域包括ケアシステムの問題、在宅ひとり死、在宅看取り率、認知症になった場合、訪問介護事業所の減少や廃止、上野氏が考える在宅ひとり死の条件や介護保険施行から20年経過した現場の経験値の進化、介護保険制度改定により生じる問題点などについて持論を展開。来場者は上野氏のユーモアを交えた巧みな話術に熱心に耳を傾けていた。
上野氏は「介護保険あっての在宅ひとり死。一人で安心して家にいられる条件を作ってきた、私たちにとって宝物である介護保険を守ってほしい。千鶴子の願いです」と講演を締めくくった。
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