市内西富岡の向畑(むこうばた)遺跡で4月18日、発掘現場見学会が開催された。公益財団法人かながわ考古学財団(株)が同所で縄文時代後期の埋没林が発見されたと発表したことから、午前午後2回の見学会に約400人が訪れた。
西富岡・向畑遺跡は、中日本高速道路(株)が計画する新東名高速道路建設に伴う事前調査として、2007年4月から発掘調査が行われてきた。
これまでの調査では、中世の建物跡や古墳時代末から平安時代にかけての集落跡などが多数発見されている。今回は最後の調査区から見つかった縄文時代の埋没林を中心に、発掘調査の成果が紹介された。
埋没林の周辺から、3170年前に噴火した伊豆半島のカワゴ平火山の火山灰が見つかっている。今回発見された木を分析した結果、噴火があった数十年前の木であることが判明した。
同財団によると、今回埋没林が発見された場所は、縄文中期から後期の集落跡が広がるエリアの山裾で、50cm以上の木が200本、小さい枝も合わせると500本以上見つかったという。遺跡からは木が炭化せず生の状態で残り、木の幹や樹皮、コケなどの細かい部分まで観察できる。笹や昆虫、鳥の羽など、森の中に生息していた動植物の遺体が見つかったことが貴重だという。
埋没林が残った理由については、斜面の土砂が地滑りによって遺跡の上に堆積したことで、土でパックされた状態になり、酸素がなくなりバクテリアなどの微生物に分解されることがなかったのではないかと分析している。
今回の埋没林の発見で縄文時代の人々が生活空間に接する森林にどのような動植物がいて、どんな環境だったかが分かる貴重な発見になった。同財団の担当者は「縄文時代の鳥の羽が出たのは全国初。仮に絶滅種だったらすごい発見」と話した。同遺跡の公開は今回が最後だが、調査は続き、結果は同財団の成果発表会などで公開していく予定だという。
平塚市から訪れたという小学4年生の古橋春那さんは、「縄文時代の木や虫が残っているのがすごいと思った。将来、遺跡の発掘に関わってみたい」と話していた。
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