伊勢原市はこのほど、日向薬師の境内でナラ枯れによる被害木が確認されたことをホームページ上で発表した。参道付近にも被害木があり、倒木や枝落ちの危険があることから、市は注意を呼び掛けている。
ナラ枯れは「カシノナガキクイムシ」が媒介する「ナラ菌」によってコナラやシイ、カシ類などブナ科の樹木が集団的に枯れる伝染病のこと。感染すると木が根から葉へと水を吸いあげる管(導管)が詰まってしまい、水が届かなくなり枯れてしまう。若い木よりも古く大きくなった老木ほど感染すると枯れて、葉が茶色くなり、紅葉のように見える。
生活様式の変化が影響
カシノナガキクイムシが産卵を行うブナ科の樹木は、薪などに活用され、かつては里山で多く栽培されてきた。しかし家庭で使う燃料がガスになるなど生活様式の変化に伴い木が使われなくなり、木が大径木化(幹が太い大木)したことがカシノナガキクイムシの繁殖に大きく影響していると考えられている。
文化財を管轄する市教委によると、日向薬師の寺林で昨年、被害木を4本伐採。現在、境内など20本以上が被害に遭っているという。枯れた木の伐採には1本30〜40万円の費用が掛かり、日向薬師の寺林が県の天然記念物に指定されていることから、県からの補助金を費用の一部に充てて対処しているという。
「山が茶色い」市民からも声
山林を管轄する市農業振興課によると、ナラ枯れによる被害は、3年ほど前から市内でも確認され、昨年から被害が目立ってきたという。今年は日向・大山地区で特に被害が拡大していて、住民から「山が茶色になっている」との問い合わせが数件寄せられているという。昨年は林道など倒木による人や家屋への危険がある木を大山で3本伐採。市担当課は被害状況を調査し、危険性があるものは伐採などの処置を実施していくという。ただし山中には私有林も多く「すべて把握し処置するのは難しい」とし、有効な手立てがないことから担当課を悩ませている。
ナラ枯れの予防には薬剤の注入方法などがあるが費用が高額になる。木にシートを巻き付けカシノナガキクイムシが次の木に飛ばないようにする方法もあるが、多数の木が感染している場合は対応しきれない。市は「倒木や枝落ちの危険がある木には近づかないでほしい。見つけた際は担当課へ連絡を」と注意を呼び掛けている。
(問)市教育総務課【電話】0463・74・5109または市農業振興課【電話】0463・94・4676
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