伊勢原市大山こま製作技術保存会の代表を務める 金子 吉延さん 大山在住 73歳
温故知新で技術を後世に
○…紺、紫、朱の3色と、長い芯棒が特長の大山こま。製作技術の伝承が、早急に記録する必要がある文化財であると判断された。市が認定する製作技術認定者による「市大山こま製作技術保存会」の代表として、技術の伝承やこまの絵付け体験会などで普及に尽力する。「昔からのもので私の力ではない。後継者の問題はあるがこれからも引き継いでいかないといけない。その責任がある」と力を込める。
○…大山の土産物店「金子屋」の8代目。教師をめざし大学卒業後の進路も決まっていたが、跡を継ぐべく小田原の漆工場に住み込みで修業することに。2年半ほどの修業生活で木の削り方や刃物のいろはを学んだ。「口で言われるだけなので、覚えるのが大変だったが勉強になった」。一人前になったと思えたのは15年ほど前。「父が奉仕団体から表彰された際に撮影された映像で『もう一人前、言うことない』と言っていたのを見た時。直接は言われていない」とはにかむ。
○…7代目の指導は厳しく、やめようと思うことが何度もあった。「これじゃお金をいただけない」とこまを壊されることもしばしば。1年ほどこま作りから離れた時も、旅行先でこけしなどの民芸品に目が行ってしまっている自分が居て、こまが好きなのを確信した。「子どもから『オジサンのこまで大会に優勝できた』などと報告されたりすると嬉しいね」とほほ笑む。
○…作り手によって使う刃物も異なり、一目みれば誰の作品か分かるという。基本は崩さず、新しいものに挑戦するチャレンジ精神から、極小のこまがひょうたんに入った「ひょうたんからこま」を商品化した。「同じものだけ作っていたら飽きるからね」と笑顔で語った。
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