いせはら市展の絵画・版画・彫刻部門で2年連続市長賞を受賞した 井上 貞夫さん 下落合在住 80歳
「人間らしさ」が信条
○…広く文化芸術の創作活動の成果を発表する場として、また文化芸術作品を鑑賞する機会として開催している公募展「いせはら市展」。昨年に続き油彩で市長賞に輝いた。審査員からは「冬でも活気ある雰囲気が感じられる作品」と高評価。「絵を再開してまだ3年の私が、こんな賞を頂いていいのか申し訳ない気持ちでいっぱい」と照れた様子ではにかむ。
○…満州で生まれ、終戦後に両親の故郷である山形県へ。絵を描くことが好きで、小学校の授業で褒められたことが今につながる。絵が好きなのは母親譲りのよう。高校で美術部に入部し本格的に絵を学ぶ。神社仏閣が多い地域だったこともあり、木彫に興味が沸き、美大に進学を希望していたが、我が子の将来を案じた父親の反対で、日大の建築学科に進む。
○…大学卒業後、住宅会社に就職。住宅やマンションの設計に携わる。「当時は多忙で、週に1、2回自宅に帰れる程度。徐々に絵から離れていった」。建築科卒でありながら、「人間らしさ」を重視していたという。「施主がどんな生活をしているかなどの内面を知り、設計に落とし込んでいた」。その後インテリアプランナーの資格を取得し、リフォーム会社に転職。67歳まで勤め上げた。退職後、やりたかった弓道やチェロ、能楽、コーラスなどを習い、セカンドライフを謳歌していた。
○…コロナ直前に大病を患い、退院後、医者から「5年間は安静に」と通告。自宅の片づけなどをしていた際に絵の具やキャンバスを発見する。高校時代の思い出が蘇り、長いブランクに不安もあったが、再び絵を描き始めた。「今回の作品は故郷と繋がりがある浅草寺、雪深い故郷を思い描いた」と嬉しそうに笑顔を見せた。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>