
東日本大震災で被災した岩手県釜石市を支援しようと綾瀬市社会福祉協議会を中心にプロジェクトチームを結成し、2012年7月から4回に分けてボランティア活動を行った「綾瀬発・釜石応援プロジェクト」が3月17日に最後となる第4回目の活動を終えた。
震災発生直後の11年6月に同社協から釜石市へ職員が派遣されて以来、両市社協スタッフが連絡を取り合い、同年夏に2度のボランティアバスツアーを運行するなど支援を行ってきた。
今回のプロジェクトはそれに次ぐ「2年目の支援」として、7月・9月・12月・3月のおよそ3カ月毎に4回、仮設住宅で暮らす被災者の食生活ケアなどをふまえた管理栄養型の炊き出し「青空給食」と、がれき撤去などのボランティア活動などを行い震災の風化を防ぐことなどが目的に企画された。
最終回の第4回には33人が参加。3月15日の夜10時に市役所に集合し、バスで出発。11日9時頃から作業班と炊き出し班の2班に分かれ活動を開始した。作業班は沿岸地域に津波で打ち上げられたブイの片付けを行った。作業を行った場所では震災から2年以上経った現在も食器などが落ちているなど爪痕が残っており、メンバーは被災地の現実を目の当たりにした。
炊出し班は同市甲子(かっし)町地区の仮設住宅で青空給食を実施。約200食の「クリームシチューうどん」を振る舞った。同メニューは綾瀬産の食材を使用し、管理栄養士が考えたレシピ。高座豚手造りハム(株)など地元企業が協力していた。にんじんやじゃがいも、たまねぎなど複数の野菜と不足しがちなカルシウムを摂取できるという。開始時刻には会場に多くの住民が集まり、食事をしながら会話するなど交流も行われていた。
各活動後に2班は合流し、釜石市社協前事務局長の矢浦一衛さんによる「青空講演会」が行われた。矢浦さんは自らも被災者であり、震災当日のビデオを流し、実際の現場をバスで走らせ、その時の様子を鮮明に話した。同市鵜住居地区で線路の流された駅のホームや100人以上が命を落とした地区防災センターを訪れ、講演の最後に矢浦さんは「私たちはとにかく忘れないでいてほしいのです」と訴えた。
活動を終えて参加者は「大切な経験となった」「見て感じたことを持ち帰って伝えたい」などと感想を話していた。プロジェクトをリードした綾瀬市社協の石橋正道さんは「定期的に訪れる中で笑顔が多くみられるようになった。がれきではなく被災者に目をむけて、来年度も何か企画していきたい」と話していた。