「秋の叙勲」の受章者が3日に発表され、あやせ名産品会の会長で元日本養豚協会会長の志澤勝さん(75)が旭日小綬章に選ばれた。旭日章は各界で功績を挙げた人に授与される。志澤さんに受章の喜びを聞いた。
「お受けして良いのか迷った」志澤さんが身を置く養豚業界は昨年9月、26年ぶりに国内で発生したCSF(豚コレラ)対策に追われている。予防策として13年ぶりに飼育豚へのワクチン接種が行われるなど非常事態のさなかにある。
今秋の台風では千葉県旭市の直営養豚場が約1千万円の被害を受け、仲間も被害を受けた。2011年に黄綬褒章を受章した際は東日本大震災の直後でもあった。
複数あった養豚業界の全国組織を統合して、20年間トップを務めた。政府与党の国会議員や霞が関の官僚らと気脈を通じ、国内の食糧課題と向き合いながら養豚業界の経営改善に取り組んできた。その成果のひとつに環太平洋経済連携協定(TPP)による経済自由化の関税撤廃から除外される「農産物重要5項目」(コメ・麦・牛肉・豚肉・乳製品・サトウキビなどの甘味資源)に豚肉が入ったことがあげられる。
輸入穀物が主流だった飼育豚のエサに食糧残渣や余剰米を導入する食品循環資源の活用や地産地消の推進、イベントによる消費者へのアピールなど常に先見の明で組織をけん引してきたが「自分だけの功績ではない」と強調する。
長年愛用して名刺には「会長」や「社長」の肩書はなく、氏名の上に「食糧自給率60%を達成できる国に!」と記してある。「どんなに頑張っても到達するのは難しいかもしれないが、今後も食糧安保に取り組み、少しでも実現に近づけていきたい」今年75歳を迎えたが、その覚悟は一層確固なものとなっている。
市内ではほかにも、元京三製作所信号事業部製造部電子機器課課長の斉藤健一さん(71)が瑞宝単光章に選ばれた。