約30年ボランティア活動を続けている 佐久間 正年さん 深谷中在住 75歳
オープンに、心通わせて
○…蛍光グリーンのベストにお気に入りのサングラス姿。「パトロールおじちゃん」と子どもたちには呼ばれている。定年退職を機に始めた深谷中地域のパトロールも10年ほど経つ。歩いてみると路地には空き缶やペットボトル、菓子の袋などが目につくもの。「地域に大した恩返しはできないけど、これ位なら」と自宅からゴミ袋片手にその場へ戻り、清掃を始めたのが発端。最近はポスティングの仕事の傍らでも、各地を清掃している。「おじちゃん」は、ちょっとした有名人だ。
○…ボランティアの始まりは30年前。元理容師の腕前を発揮し、近くに新設された高齢者施設で利用者の散髪をしたことだった。22歳で福島から上京し理容師見習いとなり、6年の修行の末、茅ヶ崎に開業した。常連客に親しまれ、落ち着いた日々。しかし、「一生これだけじゃつまらない」と40歳で転職。これまで触れたこともなかった機械工業の従業員となり、プレス機を操った。年齢や経験に関係なく、興味をもった事は、ほぼチャレンジする。野球、卓球、釣り、船舶、登山、旅行、カラオケ―。たくさんの趣味を通じ何十もの出会いがあり、その度に自分が成長した。
○…庭先には手づくりのテーブルとベンチがある。「ここでよくバーベキューをするんだ」。兄弟、孫、親戚、近所の友達など、自宅にはよく人が集まる。綾瀬に越してきた30年前に植えた柿の木も今では大きな天然のパラソルに。この夏も大活躍だった。兄弟・家族など20人で年に2回は旅行にも行く。部屋には家族や趣味の写真がいっぱい。
○…活動は多ければ4時間、レジ袋3袋分ほどを1人で清掃する。強制にならないように誰かを誘ったりせず、1人気ままに行うのがポリシー。「好きな時、好きなだけ自由にやるから続けられるんだ」。様々なコースを、毎回探検気分で楽しむ。のんびり歩き、誰かに会えば話す。ごみを拾い、温かい空気を残して。