綾瀬市は11日、台風15号により被害を受けた千葉県木更津市からの要請に応じ、ブルーシート650枚を提供した。自治体間で結ぶ「災害時における相互応援に関する協定」による初の支援活動で、関東近県にある自治体との緊急支援体制が今後の危機管理のあり方に新たな備えをもたらすことになりそうだ。
関東直撃
9月9日から10日にかけて関東地方を直撃した台風15号は、各地に甚大な被害をもたらした。特に千葉県内では、送電線鉄塔の倒壊などで最大約62万5千軒(神奈川県約14万軒)が停電。断水や猛暑などによる2次被害も報道された。
綾瀬市が災害時相互応援協定を交わす千葉県木更津市(渡辺芳邦市長、人口約13万5千人※令和元年8月)では、18日になっても全世帯の約1割にあたる約1000軒で停電が続き「被災した住宅等は甚大な数に及ぶ」(木更津市HP)という。
屋根の被害多数
協定に基づき市が木更津市の被害状況を確認したところ、11日午前の時点で「多くの家屋で屋根が壊れ、応急的な修繕のためにブルーシートが不足している」ことが判明。一旦は推移を見守ることとなったが、ほどなく同市からブルーシートの提供要請を受けた。
そのため市は、同日午前に、深谷中の旧保健医療センター内に備蓄するブルーシート(3・6m×5・4m)650枚の支援を決め、市長室危機管理の課長ら4人がブルーシート650枚と台車2台を消防車両に積み込み、午後4時ごろ、約70キロ離れた木更津市へ届け、同日中に綾瀬市へ戻った。
今年3月に締結
綾瀬市は木更津市のほか、同じ千葉県の柏市(05年、綾瀬市から約100Km)と鹿児島県鹿屋市(12年、同1400Km)、岐阜県各務原市(12年、同340Km)とも災害時の相互応援協定を交わしているが、柏市は大規模停電の被害は受けなかった。
こうした協定は11年の東日本大震災以降、同時に被災しにくい遠距離の自治体との間で締結が進められてきたが、関東圏内の木更津市とは今年3月に協定を結んだばかりだった。
災害は教訓に
今回、綾瀬市が木更津市へ届けたブルーシートは、18年6月の大阪北部地震の被害を職員が視察した際に、屋根の簡易補修に役立っていたことから、今年度予算で増備していたもの。
危機管理課の峯山哲夫課長は「片道1時間半程度で物資を届けることができて、相互応援協定の効果が初めて実感した。今後も引き続き木更津市への支援に備えながら、100キロ圏内の同規模自治体との協定締結に積極的に取り組んでいきたい」と話していた。
綾瀬市は県央地域の市町村を始め県内市町村のほか、各分野の団体や企業、法人などと102の災害協定を結んでいる。