愛川町の田代小学校と半原小学校で3月下旬に卒業式が行われ、愛川町の伝統工芸である手漉き和紙の卒業証書が贈られた。和紙は児童たちが手作りしたもの。人生の節目を郷土の伝統技術で祝福した。
糸の町という印象が強い愛川町だが、現在の角田区にある海底(おぞこ)地区は、かつて手漉き和紙の生産が盛んな和紙の里だった。
この海底和紙は江戸時代に始まったといわれ、京都の嵯峨印所御用の紙を漉くまでに発展したという。県内で残る貴重な手漉き和紙の伝統文化として、現在も半原にあるレインボープラザ(愛川繊維会館)で紙漉き体験が行われている。
伝統技術を継承している同館が、愛川町教育委員会へ手漉き和紙の卒業証書の企画を打診し、2017年度は田代小学校の児童らが手漉き和紙の卒業証書を作成した。
その後、田代小学校の萩原百合子校長が2018年度に半原小学校の校長に着任したことをきっかけに、2校で実施されることになった。
工夫重ねて品質向上
和紙づくりは誰にでもできるが、人生の記念となる卒業証書では高い品質も求められる。
同館では1回目の経験から、材料となる楮(こうぞ)とトロロアオイの配合や漉き方などを工夫し、短時間で良質な紙を作ることができるようになった。昨年11月下旬から12月初旬にかけて、同館で2校の6年生児童が和紙づくりを行い、厚さや質感など一人ひとりの個性が和紙として形になった。
和紙への印刷は特殊な機械が必要となるため、京都の印刷所で印字された。最後に児童の名前を各校の校長が手書きして、卒業証書が完成した。萩原校長は「最初は穴が開いたり筆の文字が染みてしまったりしましたが、繊維会館の方に試作や改良を重ねていただき、とても良い紙ができるようになりました」と感謝の言葉を話した。
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