なんで傘をささないの? 雨にも負けない制服姿の人々
梅雨の風物詩といえば、色とりどりの傘が花のように街に咲く景色だ。しかし、どんなに雨が強かろうとも、傘をささない人達がいることをご存じだろうか。
横須賀は古くから軍都として栄えた街。今日でも市内には防衛大学校や高等工科学校、陸上自衛隊駐屯地、海上自衛隊基地、米軍基地などがあり、凛々しい制服姿を街で見かける機会が多い。だが、彼らの姿を思い浮かべてみてほしい…。彼らはいつだって傘をさしていないのだ。
「自衛官等の服装については法律や規則によって、厳格な決まりがあります」と答えてくれたのは陸上自衛隊武山駐屯地広報班の班長。自衛官等は原則、常時制服などの着用を義務付けられている。制服以外にも身に着けてよいものが事細かに規定されていて、なにかと制約が多い。「雨雪、寒冷等の場合、雨衣(あまい)又は外とうを着用することができる」(自衛官服装規則第16条から抜粋)ことになっており、傘の使用を認める規則はないので、これをさすことはできないそうだ。
任務遂行のため
傘が許可されていない理由については「どんな場合でも適切な行動をとれるのが自衛官としての大前提。気象条件や地形などいかなる状況下にあっても、与えられた任務を達成するという使命があります。また実戦の場では、傘は目立つうえに行動を阻害する要因になりますから、もちろん使用はできません。従って風雨・雪に耐えうる装備が開発・貸与されています。さらに、平常時から困難を克服する訓練が必須です」と広報班長。普段から、雨でぬかるんだ場所に身を隠すなど、泥にもまみれるような厳しい環境で訓練を積んでいることで、心身ともに鍛えられていくそうだ。
ちなみに、同じく制服を着用している警察官も、傘の使用は認められておらず、雨衣が支給されている。傘もささずに街の治安や、国家の安全のために働く人がいることに思いを馳せてみてはいかがだろうか。
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