横須賀市民ミュージカルを作る会(通称=Sukaミュー)で代表を務める 西脇 真人さん 不入斗在住 37歳
「1年後に会いましょう」
○…横須賀の戦後を象徴した施設「EMクラブ」を題材にしたミュージカル劇で観衆の大喝采を浴びた。ジャズ隆盛期の雰囲気を再現しようとステージにビッグバンドを上げて、生の音楽に合わせて歌い踊る凝りに凝った演出を用意した。一歩間違えればアイデア倒れになってしまう危険もあったが、その賭けは大きな成功をもたらした。「終幕後、舞台袖でひとり身震いするほどの感動に浸っていました」。だから舞台はやめらない。
○…芝居や演技とは無縁の素人集団を半年間の稽古で立派な舞台人に育て上げる。メンバーの半数は子ども。公演ごとに出演者と協力者を募る独自の方式で、これまでに数々のオリジナル作品を上演してきた。「誰でも参加できる間口の広さが『Sukaミュー』の醍醐味です」。集まった個性を丁寧に磨き上げながら、ひとつの舞台の完成をめざしていく。そんな作業がたまらなく面白いのだという。
○…実は今回の舞台で、これまで支援してくれていた協力団体の撤退が決まっている。会の運営を切り盛りするスタッフも現状では5人しかいない。先の舞台の成功から一転、存続すら危うい状況にある。1年後の舞台に向けて見通しはついていない。気弱な思いに駆られるが、「異世代が同じ目標に向かって汗をかける素敵な場所。失くしたくないんです」と協力者集めに動き始めた。
○…「Sukaミュー」が演じる題材はいつも身近な地域の歴史や出来事だ。街への愛着や興味を沸かせることがひとつの狙いとなっている。先の「EMクラブ」には、世代ごとで異なる感情がある。背景の理解や表現法には細心の注意を払い、随所に笑いを入れながら横須賀の一時代を紹介した。次の構想もひそかに温めている。「商店街の活性化をテーマにした舞台なんてどうでしょう」。地域貢献という新機軸を打ち出していく。
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