地域の民家を宿泊先として提供する「民泊修学旅行」の誘致を進めている長井地区で今月21日、神戸市の中学生が初めて訪れた。生徒63人が20の一般家庭に分かれて宿泊。滞在先の家族と交流を深めながら、家業を手伝うなどの体験をした。翌日は遊漁船に乗船して釣りを楽しんだほか、自分でさばいた魚を味わうといった貴重な経験も。民泊修学旅行の実施例は県内で初。
「民泊修学旅行」
「民泊」とは、その土地ならではの文化や産業に触れながら生活体験するもの。教育効果を狙って修学旅行に導入する学校が全国的に増加中だ。名所や旧跡、宿泊拠点がなくても団体客を呼び込めるとして、観光地ではない自治体も誘致に乗り出している。三浦市でも農漁業を体験する修学旅行を受け入れているが、宿泊先は民宿を利用している。
長井地区では、旅行会社からの提案を受け、「民泊事業」を街ぐるみで取り組むことを決めた。狙いは地域力の底上げと経済活性。地元住民が中心となって昨年4月に「長井体験たび推進協議会」を立ち上げ、受け入れ体制を整えてきた。現時点で30世帯が民泊家庭に登録。協力世帯には、生徒ひとりあたり約6千円が支払われる。
同協議会では今回の初来訪に向けて、農漁業の体験プログラムを用意したほか、各家庭で振る舞う料理のレシピ交換なども行い、万全の準備で臨んだ。土産物品の開発にも着手。長井の方言をデザインした手ぬぐいや湯飲みといったグッズを新たに商品化した。生徒を通じて保護者に手渡される「長井おみやげカタログ」も作成、地場産品の販売拡大とともに再来訪につなげたい意向だ。
長井地区の民泊修学旅行は10月にも福岡県の高校生80人の受け入れがあり、来年度も2校が決まっている。横須賀市も民泊事業を、集客促進の一環に位置付けており、規模の拡大を応援していく。
「地域ぐるみで定着めざす」
「農漁協が体験できる絶好のフィールドがあり、ソレイユの丘という拠点もある」。修学旅行の受け入れなど、これまで微塵も考えたことはなかったが、提案を受けて大きな可能性を感じた。「地域全体で取り組める点が魅力。長井の底力が試されている。『民泊』を事業として根付かせたい」
![]() 長井体験たび推進協議会鈴木軍次会長
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