"艦これ"人気で集客増 市内各所に経済効果
登録者数190万人を超え、社会現象となっている人気ゲーム「艦隊これくしょん」。モチーフが軍艦であることや、実在した海軍機関・横須賀鎮守府の名が出てくることから、市内を訪れるファンが急増。土産物や関連グルメの売れ行きは好調で、記念艦三笠の入場者数も増加するなど経済効果が生まれている。
同ゲームは昨年4月に開始されたインターネット上で楽しめるブラウザゲーム。登場キャラクターは第二次世界大戦中の旧日本軍の艦船を擬人化したもので、プレイヤーは好きな艦娘(かんむす)を編成・強化・育成しながら、無敵の連合艦隊をめざしていくというもの。スタートから1年が経過し、登録者数は190万人(今年5月上旬時点)を突破。現在も増加を続けている。市内では、昨年12月に京急汐入駅前のコンビニエンスストアが同ゲームとタイアップ。1店舗丸ごとキャラクターのラッピングが施され、”艦これ”一色となり話題となっていた。
若者客目立つ
都心から約1時間の好立地。自衛隊や米海軍の軍艦・潜水艦が間近で見られる横須賀は”聖地巡礼”先として人気が高く、市内観光による経済効果が各所で出ているという。
若松町の横須賀海軍カレー本舗では、昨年末から同ゲームにちなみ、軍艦をモチーフにしたカレーを提供。戦艦「金剛」、駆逐艦「島風」、軽巡洋艦「天龍」のそれぞれ特徴や歴史的背景を見た目と味で表現した点が好評を博している。同店によると、今年のゴールデンウィークにはファンの姿が多く見られ、入店に3時間以上並ぶ長蛇の列ができたほどの盛況ぶりだったという。店内には”提督日誌”と呼ばれる、ファン同士の交流ノートが設置されており、日本国内だけでなく台湾や香港など海外から来た人も見受けられた。
三笠公園にある記念艦「三笠」にも、ゲーム人気の追い風が吹いている。平成24年度に約18万7千人だった入場者数は昨年度19万5千人を記録。三笠を管理する公益財団法人「三笠保存会」も増加の大きな要因と見ており、「ゲームを入口に三笠の功績や果たしてきた役割を知るきっかけになれたら嬉しい」と期待を込める。今年7月からは明治から平成までの艦船模型200体を展示する「三笠秘蔵連合艦隊コレクション」の開催も予定しており、今年度は昨年を超える来場者数を見込む。また、軍港めぐりを運航する(株)トライアングルの担当者も「休日を中心に20〜30歳代の若者層の乗船が増えており、歓迎したい」と話す。これまでの客層は50歳以上が中心だったため、その変化に驚いている様子だ。
すそ野の広がりを見せているのは物販やサービス業だけではない。追浜にある雷(かみなり)神社も聖地と化し、今年に入ってからキャラクターが描かれた絵馬が多数奉納されている。真相は不明だが、同神社の本来の呼び名である「雷(いかずち)神社」と実在する駆逐艦「雷」とが同名であるためと見られている。
行政は「検討中」
民間で過熱する”艦これ”人気。市商業観光課には市民から「シティセールスに使えないか」「旬の話題を活用すべき」との投書も届いているが、今は慎重に動向を見守っている状態だ。市は一連のブームによる多大な経済効果や集客力を把握した上で、同様にアニメを観光資源として活用して地域活性化を図る自治体を視察するなどリサーチを行っているが、現在の方向性は未定。「今後どのような形で絡めるか考えている」と話すに留まっている。
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