長井でスタートした「民泊修学旅行」。実現の立役者となったJTB社員 鈴木 守さん 馬堀海岸在住 34歳
当たり前がすごいもの
○…観光地としての認知度は決して高くない長井に「民泊」という手法を持ち込んで修学旅行誘致を実現させた。今年度は2校、来年度も2校の受け入れが決定している。その土地ならではの日常生活を滞在先の家族とともに体験する「民泊」を、修学旅行に採用する学校は増加傾向にある。全国での実施例も枚挙に暇がない。「でも、それが自分の家に迎える、となったら誰もがしり込みするでしょう」
○…集客戦略を描けずに苦戦を強いられている長井の現状を知った。そこで、思い浮かんだのが素材だけで勝負できる「民泊」。「漁師町の素朴な風景をそのまま売り込める」。旅行会社の営業担当としての嗅覚がそう感じさせた。最初のアプローチでは、「無茶なことを言うなよ」と地域の役員の反応は冷ややか。でも、そこからが本番とばかり、漁協の理事会、町内会、婦人会の会合に何度も出向き、経済効果をもたらしている各地の成功例や教育現場の要望を説明して回った。
○…長井では食卓に毎日新鮮な野菜や採れたての魚が食卓にのぼる。「皆さんの当たり前が、実はすごいもの。ありのままが最高のおもてなし。だから民泊なんです」。足を運び始めて1年が経ったころ、地域の衰退を危惧する重鎮の一言が風向きを変えた。「10年後の長井をどうするのか、今動かなければ」。協力を名乗り出る家庭が徐々に現れ、前進した。「民泊登録は30件。これを100件にするのが当面の目標。長井に定着させたい」
○…名刺の肩書きはソーシャルソリューション事業推進担当。旅行を主軸とした集客事業で社会課題の解消をめざすというものだ。先ごろ、自衛隊基地で若者の人材育成を行う体験プログラムを開発。講師は自衛隊OBで彼らの退官後の職の確保も狙う。「留学の街」をフレーズとする国内ホームステイ事業も基地関係者との連携で着手。腕っこきの企画マンが横須賀に変化をもたらしていく。
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