私立幼稚園 新制度移行に足踏み 市の方針不透明で様子見
2015年度からスタートする「子ども・子育て支援制度」。新制度では利用者の申請手続きの変更のほか、認定こども園の設置にも力を入れる。来月には来年度の入園申請手続きが始まるが、市内の私立幼稚園では新制度移行に関して、未だ様子見といった状況だ。
新制度では、幼稚園と保育所の機能や特長を併せ持つ「認定こども園」の普及を目指している。就労の有無に関わらず0歳児から5歳児まで入所でき、待機児童の解消や子育て支援拠点としての役割も持つ施設。幼稚園から認定こども園に移行するケースや市立の幼稚園・保育所が統合してこども園となる例が多く、今年4月の時点で県内には43施設、市内では未設置だ。
移行のメリット見えず
8月に市内各地で行われた新制度に関する利用者説明会では、幼児教育と保育を一体的に行う施設として「こども園」への関心も高く、「いつ、市内にできるのか」という声が多く上がっていた。来年度からの認定こども園移行に関しては今年度当初、数園が手を挙げていたが、「準備期間が短い」「財政面で運営の見通しが立たない」などとして様子見の状況。さらに、私立幼稚園は新制度の中で【1】従来の私学助成を受ける【2】施設給付型の幼稚園に移行【3】認定こども園―のいずれかを選ぶこととなるが、施設給付型への移行で公費投入額が減額となるケースも想定され、さらに「移行するメリットがはっきりしない」として現行(【1】)を選択する園が多いとみられる。市では、新制度移行に伴う来年度の体制=表=について、聞き取りを各園に行っており、来月初めに結果を公表するとしている。
ただ、来月早々には入園入所に関する一連の手続きが始まる中で、「保育料の設定や、こども園移行に関する設置基準・助成など市の方針が固まらず、制度の細部が決まるのも遅い」と市内の私立幼稚園関係者は話す。利用者が知りたいのは「来年の保育料がいくらになるのか」「保育・教育のニーズに応えてくれる施設はあるのか」ということだが、この時期になっても未確定な部分が多いのが現状。新制度が複雑だということもあるが、「市は、制度に対して後ろ向きではないか。『子育てしやすい街』を掲げるなら、はっきりとしたビジョンを描いて後押しする姿勢をみせてほしい」と、厳しい声も上がっている。
市立幼稚園は廃止の方向
市立幼稚園(諏訪・大楠)に関して、市の施設適正化計画では10年以内に廃園とする方針が出されている。定員割れが続き「市立幼稚園の意義は薄れてきている」という見方。ただ、諏訪幼稚園=写真=に関しては一昨年、諏訪小と共に建て替えを行ったばかりで、小・中学校との交流・連携という特長もある。担当部局では計画策定後、速やかに廃園にする意向で「住民や関係者に丁寧な報告をする」と話す。市立保育園の再編化計画も上がる中で、「保育・教育の環境整備を一体化して考えてほしい」という声も聞かれる。
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