約半世紀にわたって親しまれてきた走水海水浴場=写真=が今年から閉鎖される見通しとなった。海水浴場を開くには県の条例で定められた更衣休憩所などが必要だが、その役目を担っていた海の家が横須賀市から建築基準法に基づく指導を受け、全軒廃業を決めたことが理由。海の家の経営者らは「残念だが仕方ない」と苦渋の決断を下した。
市が指摘するのは仮設建築物の許可基準について。海の家は条例で夏季のみ許可されており、シーズンが終わると建物を撤去しなければならない。逗子市などでも同様の条件で行っているが、走水では長年、漁具の置き場などとして、撤去せずに建物を残していた。
海の家経営者らで組織する走水海岸観光組合の富永正樹会長は「ここは観光客より市内から訪れる人が多い。市民のためにも存続したかったが」と肩を落とす。指導に従い、毎年ごとに設置と撤去を行うとこれまでの2倍の経費がかかり、採算が取れないという。2010年には約2万4千人だった来場者数が昨年は1万4千人と減少していることも一つの要因となった。富永会長は「海の家が廃業になると、ごみ箱もなくなり、海岸掃除をする人もいなくなる。砂浜や海が汚れ、地元漁師に影響が出かねない」と危機感を募らせる。
今回の件について地元関係者の1人は「市はこれまで黙認してきたが、吉田市長の百条委員会で話に上ったBBQ問題の件以降、建築基準法の指導を厳格化したのでは」と推測。対して市の担当者は「実態を把握したのは昨夏」としている。
市内の海水浴場は1996年には7カ所あったが、走水と同様に利用客が減少しており、閉鎖が続いている。今年開かれるのは長浜と猿島のみとなる見通しだ。
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