プロサッカーJ1リーグ「FC東京」で今週末、最後の試合に臨む 石川 直宏さん 横須賀市出身 36歳
「乗り越えた」その先に
○…トップ選手として18年間、走り続けてきた。8月に引退を表明し、節目と決めた試合は今月2日と3日。「クラブやファン・サポーターへの感謝をピッチで表現したい」。怪我の復帰から照準をこの日に合わせた。
○…近所のお兄さんを見て「面白そう」とボールを蹴ることに夢中になったのが幼稚園年長の頃。「スイッチが入った」。地元チームで頭角を現し、市や県の代表に選出。Jリーグ開幕戦を現地で観戦した小6の少年は「このピッチに自分が立ったら、どう感じるのか」―プロが夢から目標に変わっていた。市内の中高へ通いながら、横浜F・マリノスのジュニアユースへ。「サッカーに没頭し、仲間に恵まれて良い時代を過ごせた」。ボールを追うひたむきさ、上手くなりたいという信念でプロへの階段を上っていった。横浜F・マリノスからFC東京へ。スピードを武器にゴールへ切り込むプレーが記憶に残るが、それらのシーンよりも「怪我で離れて再びピッチに上がる―ここからさらに飛躍するんだと”乗り越える”瞬間」のほうが、プレーヤーとして印象深いと語る。
○…3兄弟で弟2人も地元サッカー界に身を置く。「常に背中を見て追いかけてくれた。自分も前に進む姿を見せたかった。絆は人一倍。でも、長男としては少し厳しかったかな」。ただ、そこから自立や責任感も学んだ。両親には「やりたいことを後押ししてくれた」と感謝の言葉を重ねる。
○…「横須賀がいきいきしている姿を見たい。自分の経験を通して、協力や還元できることがあれば」と地元愛を覗かせる。最後に「人生で、サッカーはどういう存在か」と聞いた。「多くのものを学ばせてもらって奥深い。今でも発見や課題がある。生涯関わっていくもの」との答え。心に刻む言葉の一つが「起こる事全て善きこと」。自身が念じる通り、乗り越えた先には光がある。「どの道に進んでも、自分らしく」と、晴れやかな表情を見せた。
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