高台の居住者といった買い物弱者の支援に取り組む久里浜商店会は、地元企業が開発したICT(情報・通信技術)装置を導入し、来年1月を目途に移動販売車事業を展開する。現在、久里浜台自治会と協力して利用者の声を聞くモニタリングを行っている。
地元IT企業と連携
導入するのは、その名も「接近お知らせくん」。移動販売業者向けに開発されたもので、販売者が持つ親機が複数の子機に接近していることを、ランプと音で周知する。3種類のランプは地区ごとに色分けされ、移動販売車の到着や現在地を示すことで、消費者の買い逃しなどを防ぐ。ボタン一つで操作が可能なため、高齢者や通信機器に慣れていない人にも使いやすい。開発したのは、YRPにある株式会社S&N(センサー&ネットワーク)。今年1月に設立したばかりの新興企業で、通信技術を応用した機器を手掛ける。
同社の小山健二郎社長は「母親が移動式の豆腐屋さんの到着時間がわからず苦労した」という経験から製品開発を決意。商工会議所が地元企業を支援する「小規模事業者持続化補助金」を利用し開発に踏み切った。事業の規模拡大を目指す同社は、最初のモデルケースとして、社会貢献事業を展開する久里浜商店会にモニタリングの協力を求めた。小山社長は「情報通信技術の発信拠点であるYRPの成果を、地元市民の目に見える形で還元することができれば」と意気込みを話した。
支援の幅拡大
同商店会は、久里浜台の買い物弱者対策の強化として移動販売車事業を来年1月からスタートさせる。「実際に商品を見て購入したい」という市民の声に応える形で実現したもので、月に2回程度、鮮魚や青果、惣菜など久里浜商店街に並ぶ商品をそのまま提供。これに合わせて装置の本格的な導入を目指す意向だ。
同商店会は久里浜台自治会と協力して先月からモニタリングを実施。この結果を開発元に報告し、さらなる改善を図っていくという。同自治会の中井貞雄会長は「買い物に苦労している人たちが移動販売のおかげで楽になる。センサー装置導入も含めて利便性向上に期待したい」と話した。
同商店会は、3年前から展開している配達・御用聞きサービス「くりはまおつかい便」も引き続き実施し、支援の幅を広げていく。
横須賀・三浦版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|