新年恒例の宮中行事として、今月12日に開かれる「歌会始の儀」の入選者10人に、浦賀丘在住の浜口直樹さん(38)が選ばれた。看護師として働く中で感じたことを歌に込め、初入選を果たした。短歌は午前10時半ごろから天皇陛下の前で詠み上げられるという。
18年前に初めて応募し、今回が9回目。応募総数2万453首の中から選ばれた。浜口さんは「宮内庁から直接電話で知らせをもらった時はまさかと驚いたが、うれしかった」と喜びを語った。
歌会始のお題は「語」。横浜にある神奈川県立精神医療センターの看護師として働く浜口さんは、「外国人の方でも、不自由を感じないように入院生活を送ってもらいたい」という思いから、コミュニケーションの助けとなるようにと英語で書いたしおりや問診票を作成。「医師と患者との意思疎通がカギとなる精神病院で、いかにして言葉の壁を乗り越えようか」と、試行錯誤し悩んだ実体験を詠んだという。昨年1月の募集開始から約7カ月間考え抜いた。
言葉をストック
学生時代から言葉を編むことが好きだったという浜口さんだが、意外にも短歌を詠むのは「歌会始の儀」に応募する時だけ。教室や講座にも参加したことがなく”独学”だ。そんな浜口さんの趣味は、全国各地で公募されている施設の名称や団体のキャッチコピーなどを考えること。2016年に募集がかけられた、サーフィン日本代表の愛称「NAMINORI JAPAN」を命名したほか、国立研究開発法人の防災科学研究所が募集した、地震や津波・火山の観測網の愛称「MOWLAS」(モウラス)も浜口さんが名付けた。
全国規模のものから市町村単位のものまで、月1回のペースで応募している。数々の当選実績が認められ、自身が勤務する病院のキャッチコピーも考案。現在は病院説明会の資料作成など広報の仕事も任せられるようになった。
自宅から勤務地までの通勤時間に考えることが多いという浜口さん。生活や仕事の中で見つけたフレーズや気づいたことなどを、携帯電話のメモ帳に「言葉のストック」をするのが日課だ。「今年もたくさん応募します」と笑顔で話した。
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