住居の内外にごみを溜め込み近隣住民の迷惑となっているいわゆる「ごみ屋敷」対策として今月28日、横須賀市は市が定める「ごみ屋敷条例」に基づき、船越町の50代男性宅の散乱物を強制的に撤去する行政代執行に踏み切った。県内で初めて。市によると、のべ100回の訪問を行い、片づけを指導してきたが、生活環境の改善に至らなかった。代執行の前段措置として、同月10日に氏名公表も行っていた。
精神面のケア 福祉的支援も
午前9時、市福祉部の担当者が男性に対して代執行の趣旨を伝え、複数の職員が屋外とベランダ、共有地に溜め込んでいたレジ袋などのごみ、1710kgを回収。作業は2時間半かけて行われた。撤去に要した費用は当人に請求する。
この日、代執行の一部始終を伝えようと報道も過熱。マスコミ各社が住宅街に詰めかけ、辺りは騒然とした雰囲気に包まれた。
近隣住民の話では、当事者の男性は3〜4年前からごみを溜め込み始め、一時は自宅前の私道にはみ出すほど積み上げ、通行に支障が出ていたという。ねずみの大量発生や悪臭に悩まされていた。
「ごみ屋敷条例」制定の端緒となったのもこの男性宅だ。地域からの相談を受けていた加藤眞道市議(市政同友会)が中心となって条例制定に動き、昨年の秋に成立させた。同条例は単なるごみの撤去だけでなく、福祉的な支援にも主眼を置いた内容で、生活支援や精神面のケアも同時に行いながら再発防止を図っていくことを基本理念としている。代執行の現場にも訪れていた加藤議員は「ごみの撤去は、一時的な解消であって根本の解決には至っていない。近隣住民も当人が繰り返すことを危惧している。生活上の問題解決などのサポートが肝要。粘り強い対応が必要」と話した。今回のケースでも市の保健師が事後の対応をしていくという。
市は、「ごみ屋敷」を悪臭や害虫の発生、火災の危険性など、近隣の生活環境が損なわれている状況と定義。市内で現在12件を把握している。
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