難民生活や人身売買など、厳しい環境に身を置くアジアの子どもたちを取材しているフォトジャーナリスト、安田菜津紀さんの講演会が今月2日、ウェルシティ市民プラザで開かれた。アジアの女性の自立支援活動を行うNPO法人「WE21ジャパンよこすか」の主催。約120人が集まった。
安田さんは久里浜出身。社会問題を発信するラジオ番組でパーソナリティを務めるなど、活躍の場を広げている。
講演テーマは「写真で伝える被災地、紛争地の子どもたち」。国内外の現場に通い続け、写真を通して声なき声を伝える自身の活動を紹介した。
安田さんは16歳の夏休みにNGO団体「国境なき子どもたち」の派遣プログラムに参加。途上国のストリートチルドレンを取材したことで、問題を抱える同世代の子どもたちを身近に感じるようになった。「私とあなたの関係性。困っている友達に何かできることはないか。これが今につながる原点」と語った。
2011年の東日本大震災以降は、同じく写真家である夫の出身地、岩手県陸前高田市を中心に被災地を記録し続けている。高田松原の「奇跡の一本松」を撮影したエピソードでは、新聞に掲載された写真を義父に見せると「以前を知らない人には『希望の象徴』のように見えるかもしれないが、松原とともに暮らしてきた人間にとっては津波の脅威を示すもの。辛いだけ」と厳しい言葉を浴びせられ、「誰の立場に寄り添うか」を考えるようになったという。
写真家という仕事にも言及。直接的に人の命を救うことができない、物資を提供することもできないが、あるNGO職員が発した「役割分担」の言葉が胸に突き刺さった。「一人の人間が全ての役割を果たせない。ちょっとずつ力を持ち寄れば苦難を乗り越えることができるはず」と今の心境を伝え、現地の窮状を伝え続ける意義を話した。
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