横須賀市は先月22日、性的マイノリティや事実婚など、婚姻制度の適用外のカップルをパートナーとして証明する新たな制度の導入方針を示した。29日に藤野英明市議が上地市長へ、制度導入への意義を確認する一般質問を行った。今後具体的な制度内容や運用方法などの協議を重ね、来年3月議会を経て4月の導入を目指す。
東京都渋谷区や世田谷区など、性的マイノリティを支援する自治体の動きが近年、全国的に広がり始めている。横須賀市では2011年から全国に先駆け、市職員への勉強会や当事者との意見交換会(13年度から)を定期的に実施してきた。
今年7月に市長から諮問を受けた「市人権施策推進会議」は先月22日、「早期にパートナーシップ制度の導入を検討すべき」とする答申書を提出。これを受けて具体化した制度が作られることにより、市民の性的マイノリティへの理解が深まり、当事者への差別や偏見の解消、暮らしやすさの向上に繋がることが期待される。また、申請者に証明書が発行されることで、家族向け市営住宅への入居や携帯電話の家族割引など、行政や民間事業者のサービス適用なども見込まれる。制度が導入されれば神奈川県内では初となる。
制度実現後の課題も
「誰も一人にさせないまち」を掲げる上地市長は先月29日の議会答弁で、「多様性を認めて差別や偏見をなくし、全ての人がこの街で暮らして良かったと思えることが重要。広く全ての人が利用できるこの制度は大変意義深いもの」と語り、制度導入への理解を示した。
周囲の理解が乏しく自殺に至る性的マイノリティの子どもが多いことから、将来への精神的な支えとなり得るパートナーシップ制度の必要性を13年から議会で訴えてきた藤野市議。「制度の実現が現実的になり嬉しい。導入後も他自治体との連携も視野に、継続的に有効活用されるよう市民へ正しい情報を提供し、無意識に存在する偏見に働きかける必要がある」と話した。
喜びと期待の声
当事者の居場所づくりや繋がり強化を目的に、市内では今年8月に有志団体「よこすかにじいろかれー」が発足。同月にパートナーシップ制度導入の要望書を市へ提出し、9月には「市人権施策推進会議」と意見交換を行うなど、行政へ働きかけている。代表を務める藤原和希さんは「私たちを含めた全ての人が同じ権利を得られるよう、横須賀のような取り組みが国レベルまで広がって欲しい」と期待を寄せる。また同団体メンバーからは「制度によって公的にパートナーとしてだけでなく、存在自体も認められたと実感でき、心強くなる。社会保障も広く認められるような制度になって欲しい」という声も挙がった。
今後は他自治体の制度を参考に当事者の声も取り入れ、市外転出や死亡した場合の証明書返還の義務や、プライバシーを配慮した運用方法といった具体的な議論を重ね、自治体の事務手順や方針となる要綱案と制度概要を策定。来年3月議会で提出し、4月からの制度導入を予定している。
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