北久里浜商店街にある婦人服・雑貨の店「すぎの子ストアー」を切り盛りしているのは杉山えりかさん(35)。20代前半で地元を離れ都内でブライダルの会社に勤務していたが、昨年退職。両親が営む同店で働き始めた。
もともと継ぐ気は全くなかった。2017年頃から、体調を崩した父親の代わりに、休みの日を利用し店を手伝うように。事業承継を考えるようになったきっかけは30周年のセールを実施した時のこと。自らチラシを作成し、自分の足で周辺地域にポスティングしたところ「思った以上に反応があった」。大型店やネット販売が拡大している中でも、高齢者やコミュニケーションを求めて訪ねてくる人たちの存在に気付いた。「この店を残していかなければ」
”選ぶ楽しさ”お届け
「後継ぎになる」―と覚悟を決めたのは、この店に可能性を感じたからだ。訪れる客の声を聞いていて気付いたことがある。介護施設にいたり、店頭まで来られなかったりする母のために、代わりに買いに来るお客さんが多くいるということ。サイズや好みに合わず結局着ていないというケースをよく耳にした。せっかくなら納得して買ってほしい―。そう考え、始めたのが、介護施設や町内会館での出張販売。施設に足を運んで商品を置いてもらえるよう交渉し、昨年1年間で、約10カ所に展開した。前職で営業畑にいた経験がここで生きた。「個人店の良さは小回りが利くこと。待っているだけでなくこちらから出向くことで『ほしいけど買えない』人に”商品を選ぶ楽しさ”を届けられている」。次はいつ来るの、と声を掛けられる度、まちのブティックの新たな可能性に、手ごたえを感じ始めている。
横須賀・三浦版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|