幅160cm×高さ60cmの物流専用機体=猿島の着陸ポート
ドローン(無人航空機)を使用した近未来の買い物サービスが今夏、猿島を舞台に行われる。IT企業の楽天とスーパーマーケットチェーン西友による共同事業で、平成町の商業施設から対岸の猿島でバーベキューを楽しむ人に空から商品を届ける。実証実験の位置付けだが、利用者から料金を徴収する国内初のドローン商用配送として注目を集めそうだ。
国内でドローン物流サービスに先駆的に取り組む楽天とネットスーパーをいち早く展開した西友が手を組んだ。「スマートモビリティ」と呼ばれるIoTやAIを活用した新たな移動手段の開発などに積極姿勢の横須賀市も今回の試みを支援。高台や谷戸に暮らす買い物弱者に向けた配送サービスの実用化などにつなげたい意向だ。
猿島のドローン配送は、7月4日(木)を皮切りに約3カ月間、木・金・土曜日に利用できる。専用アプリをダウンロードしたスマートフォンを使い、西友リヴィンよこすか店で扱う食材や飲料、救急用品など400品目の商品を注文する。最大積載量は約5kg。ドローンが対岸の猿島まで約1・5Km(片道約5分)の距離を自動飛行し、島内に設置された着陸ポートに届ける仕組み。配送料は500円で商品を含めてスマホで決済する。期間中は1日最大8便を運航するが、雨天時や風速が10mを超えるとサービスが中断される。
楽天の担当者は、「夢のショッピング体験。多くの人にドローン配送を身近に感じてもらえる機会にしたい」と自信をのぞかせた。物流困難者の支援や災害時緊急対応への実用展開を急ぐ考えも示した。一方の西友もネットスーパーの利便性向上や配送業務の効率化を図るための第一歩にするという。
次世代の物流システムの構築に挑む「楽天ドローン」は、企業や自治体と連携して2016年から実証実験や試験的なサービス提供を行っている。千葉県御宿町のゴルフ場でコースにいる利用客に飲み物やゴルフボールを届けるサービスや福島県南相馬市でコンビニのローソンの移動販売車に商品を配送する試験運用を行った事例などがある。